ただ誰かを想う。その純粋な光にふれる物語。

同じ学校に通っていた、幼い頃からの「顔見知り」。
少女と少年。友人ですらない二人のささやかな触れ合いを描いた物語に、胸の奥が静かにあたたかくなりました。

人は誰でも、いくつもの仮面を持っています。
誰かにとっての信頼できる友人は、別の誰かにとっては嘘つきな裏切り者かもしれません。
自分の言動や心の内を全て曝け出しても、何一つ恥ずべきものはないと自信を持って言える人は、そう多くはないでしょう。
人の善し悪しは、相手や立場によっていくらでも変わってしまう。
善い悪いという曖昧で不安定な理由ではなく、ただあなたの存在そのものが光なのだと。そう伝えずにはいられない「誰か」がいることは、とても幸福なことだと思います。

この物語が終わった後も続いていく彼女たちの日々が、幸せな光に満ちていることを願いたくなる作品です。