雨に打たれて(女性ひとり読み)
Danzig
第1話
今日は雨
こんな日に雨なんて
でも、雨で良かったのかもしれない
待ち合わせの場所
少し遅れた私を待っていてくれたあなた
予感していた、あなたからの誘い
ここに一人で来てくれたのは
きっとあなたの優しさなのだろう
少しうつむくあなたに
私と過ごした時間の面影を探す
今の私にできる事は、もうそれくらい
無言で過ごす二人の最後の時間が終わる
あなたの優しい言葉
そして
「さようなら」の形を描く唇
私の精一杯の笑顔
あなたの好きだったワンピース
一つのエピソードが全て過去に変わっていく
互いを憎めない不器用な二人の結末
雨に溶けていく、あなたの黒い傘
小さくなっていくあなたの背中
きっともう、あなたとは会えないけれど。
私はあなたの思い出にでもなれただろうか
雨の中
動けずに佇む私に、変わるシグナルが背中を押す
私もようやく歩き出す
帰る場所は無いけれど
絡むスカートにもつれながらも
少しだけ前へ
雨に打たれる傘を持ちながら
雨に打たれて(女性ひとり読み) Danzig @Danzig999
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