【創作落語】ペンティアム・ペンティアム

Danzig

第1話

枕(まくら)はアドリブでお願いします。

アドリブが苦手な方は以下を参考にしてください


まくら:(例)

まくら:毎度バカバカしいお笑いを一席お付き合い願いたいと存じます。


まくら:世の中がどんどん変わってまいりまして

まくら:もう、大変な世の中になってきましたね

まくら:まぁ、昔はよかったという話ではないのですが


まくら:何が変わったかといいますと、例えば物の名前なんかが変わってきましたね

まくら:昔は、例えばポットなら、ゾウ印のポットとか、タイガーのポットとか

まくら:ミシンなんかでも、どこどこのミシンなんてね、ミシンはどの会社もミシンだった訳ですよ。

まくら:それが、競争社会になってきましてね、

まくら:物に名前を付けるようになってきまして

まくら:個性を出さないと売れないようになってしまったんですね。

まくら:特に家電業界なんてそうですね。

まくら:例えば、テレビですと、昔はソニーのテレビとか、パナソニックのテレビとかでよかったんですが

まくら:今では、アクオスとか、ビエラとか、ブラビアとか、ブラジャーとか、パンティーだとかね・・・

まくら:なんだか、色っぽい話になって来ちゃいますけど

まくら:まぁ、そんな、こんなで、物にはいろんな名前がついているんですが・・・


まくら:そういったのが、PC、いわゆるパソコン業界にも押し寄せて来ている訳です。

まくら:昔はパソコンというと、売るための販売戦略っていうんですか?

まくら:そういうのの特徴というと、「名前よりも性能を重視して」なんて風潮だったのですが、

まくら:その性能っていうのが、今はどの会社も大して変わらない。

まくら:まぁ、どれも同じ感じになってきてしまったので、差別化ができない

まくら:また、どんどん難しい専門用語が出てきたりしてね、私達素人では意味が分からなくなってきた

まくら:そうなってくると、名前で個性を出そうとする会社もでてくるわけでして・・・・





社長:「ああ、村田くん」


村田:「あ、これは社長、今日はどうされました」


社長:「村田君、君に頼んだ『あれ』は、どうなっているのかね?」


村田:「『あれ』・・・と申しますと・・・」


社長:「我が社の社運を賭けたパソコンだよ」


村田:「はっ、『あれ』でございますか、もう生産の目途が付きまして

村田:今、生産をしております。」


社長:「そうか、それはよかった

社長:で、名前の方はどうなったのかね?」


村田:「名前でございますか?」


社長:「そうだよ、それも君に任せたじゃないか」


村田:「あぁ、そうでございました。

村田:名前は今、選定中でして・・・そろそろ決まる頃かと・・・」


社長:「そうか、それはよかった

社長:なにせ、社運を賭けたパソコンだからな

社長:いい名前を付けてもらわないと困るよ」


村田:「はい、お任せください」


社長:「うむ」


村田:「ちなみに社長・・・」


社長:「なんだね?」


村田:「どんな感じの名前がよいと思われますか?」


社長:「ど、どんな?」


村田:「はい、私はパソコンにはあまり詳しくありませんので、

村田:そう言った事に大変お詳しいという社長に、是非、ご意見をいただきたくて」


噺家:といって、村田部長は社長に意見を訪ねるのですが、

噺家:実はこの社長、パソコンの事はてんで素人

噺家:まったく分かってはおりません。

噺家:しかし、それを部下に知られる訳にはまいりませんので、ここは一つ、何とかごまかしたい所


社長:「あ・・・いや・・・うん・・・そうだな・・」

社長:やはり、『パソコン!』という感じの名前がいいかな」


村田:「『パソコン!』ですか?」


社長:「あ・・うん・・名前を聞いたらパソコンだなってわかる名前だよ」


村田:「あ、なるほど! さすが社長!

村田:早速、担当者に伝えます、では失礼します」


社長:「うむ、よろしく頼むよ」


(村田部長が歩いている)

 

村田:「名前かぁ・・・いや、すっかり忘れてたなぁ、今、どうなってたかな・・(アドリブ)

村田:おお、丁度いいところに」


村田:「ああ、佐藤君、佐藤君」


佐藤:「あ、これは村田部長

佐藤:どうかされましたか?」


村田:「あぁ、佐藤君、ちょうど今、君の所に行こうと思っていた所なんだよ」


佐藤:「はい、なんでしょうか?」


村田:「例の『あれ』、今どうなってる?」


佐藤:「村田部長、失礼ですが、例の『あれ』とは?」


村田:「例の『あれ』は、例の『あれ』だよ

村田:ほら、今度発売するパソコンの名前の件、あれって君に頼んでたよな?」


佐藤:「パソコンの名前・・・・ですか?」


村田:「そうだよ、今度発売するパソコンの名前だよ、君に頼んでたよな?」


佐藤:「いえ、私は特に・・・」


村田:「いや、確かに君に頼んでたよ、まさか君、忘れていたと言うんじゃあるまいな?」


佐藤:「ええっ!

佐藤:(いや・・・絶対に頼まれてないよなぁ・・・)」


村田:「何か言ったかね?」


佐藤:「いえいえいえ、何も言っておりません

佐藤:あぁー、あぁー、あぁー、例の『あれ』ですね

佐藤:あれは、今、順調に進んでおります」


村田:「おお、そうかね。 それは安心だ」


佐藤:「(ち、何言ってんだよ)」


村田:「ん? どうかしたかね?」


佐藤:「いえいえ、何でもありませんよ

佐藤:あのぉ・・ちなみに、部長」


村田:「なんだね?」


佐藤:「村田部長は、どんな感じの名前がよいと思われますか?」


村田:「ど、どんな?」


佐藤:「はい、私はパソコンにはあまり詳しくありませんので、

佐藤:そう言った事に大変お詳しいという部長に、是非、ご意見をいただきたくて」


噺家:といって、佐藤課長が村田部長に意見を訪ねるのですが、

噺家:さっきの社長と同様、この部長もパソコンの事はてんで素人

噺家:まったく分かってはおりません。

噺家:しかし、先ほど社長の意見を聞いておりますので、部長には自信があります


村田:「あぁ、そうだな

村田:それはあれだ、『パソコン!』という感じの名前がいいだろう」


佐藤:「『パソコン!』ですか?」


村田:「あぁ、そうだ。

村田:名前を聞いたらパソコンだなってわかる名前だよ」


佐藤:「なるほど、さすが部長!

佐藤:他には?」


村田:「え! 他に?」


佐藤:「ええ」


村田:「そ、それだけじゃダメなのか?」


佐藤:「ええ、やはり、いろいろコンセプトがあったほうが・・・」


村田:「そ、それも、そうだな・・・・

村田:やっぱり、あれだ、親しみやすくないとな」


佐藤:「『親しみやすく』ですか?」


村田:「あぁ、そうだ、まるで家族のような親しみやすさだ」


佐藤:「パソコンにですか?」


村田:「そ、そうだよ。パソコンでも、これからは親しみやすさってのが大事なんだよ」


佐藤:「そうですか・・・わかりました。

佐藤:では、担当者に伝えておきます」


村田:「あぁ、頼むよ、佐藤君

村田:このパソコンには我が社の社運がかかっているからね。

村田:くれぐれも、そのつもりでな」


佐藤:「はい、承知いたしました。

佐藤:では、失礼します」


村田:「うむ、よろしく頼むよ」


(佐藤課長が歩いている)

 

佐藤:「まったく、村田部長にも困ったもんだよなぁ

佐藤:あれ、絶対自分が忘れてたんだぜ

佐藤:でも、あの人、ああなっちゃうと強引でしつこいし

佐藤:おまけに査定とかいいだすしなぁ、

佐藤:あぁーあ、ったく、イヤな事押し付けられちゃったなぁ・・・」


噺家:そして、佐長課長がぶつぶつ言いながら自分の課に戻ってまいりました


佐藤:「さて、どうしたもんかな・・・

佐藤:だれか適当な奴はいないかなぁ・・・

佐藤:お、いたいた

佐藤:おーい、熊田君

佐藤:熊田君・・・・

佐藤:・・・

佐藤:熊さん

佐藤:熊公

佐藤:熊!


熊田:「はいはい、何ですか、課長」


佐藤:「呼ばれたら直ぐに来たまえ」


熊田:「はい、すみません・・・ところで何ですか課長」


佐藤:「あぁ、それなんだが

佐藤:熊田君、例の『あれ』、今どうなってる?」


熊田:「佐藤課長、例の『あれ』とは?


佐藤:「例の『あれ』は、例の『あれ』だよ」

佐藤:ほら、今度発売するパソコンの名前の件」


熊田:「あぁ、課長が村田部長に押し付けられたやつ」


佐藤:「な、なんで知ってるんだね」


熊田:「だって、課長、ぶつぶつ言いながら歩いてたじゃないですか」


佐藤:「そうか・・・聞かれてたのか

佐藤:そうなんだよ、部長に押し付けられちゃってさ」


熊田:「で、どうするんですか?」


佐藤:「だから、それを君にやって貰おうと思って声をかけたんだよ」


熊田:「ええっ! 俺がですか?」


佐藤:「あぁ、頼むよ」


熊田:「でも、俺はパソコンの事は何にも知りませんよ?

熊田:そういう事はパソコンに詳しい佐藤課長が適任なのでは?」


佐藤:「大丈夫、君なら何とかなるよ

佐藤:ほら、社内に友人も多いし、いろいろ聞いてみるといいよ」


熊田:「そんな事いわれても・・・」


佐藤:「な、頼むよ」


噺家:この熊田くん、通称『熊さん』 

噺家:この人、がさつではあるんですが、頼まれたらイヤとはいえない人柄でして・・・


熊田:「そうですか?・・・・わかりました、やりますよ」


佐藤:「ありがとう、助かるよ」


熊田:「ちなみに課長、

熊田:課長は、どんな感じの名前がよいと思われますか?」


佐藤:「ほら来た!」


熊田:「『ほら来た』って何がですか?」


佐藤:「いや、何でもないよ

佐藤:そうだな、やっぱり、『パソコン!』という感じの名前がいいだろう」


熊田:「『パソコン』という感じですか?

熊田:他には?」


佐藤:「(理由は聞かないんかい!)」


熊田:「は?」


佐藤:「いや、いいんだ

佐藤:他にはねぇ・・・やっぱり親しみやすくないとな」


熊田:「『親しみやすく』ですか? パソコンに?」


佐藤:「ほら来た!」


熊田:「『ほら来た』って何がですか?」


佐藤:「いや、いいんだよ

佐藤:あぁ、そう、そうなんだ

佐藤:いくらパソコンでも、これからは親しみやすさってのが大事なんだよ」


熊田:「ほう、なるほど、さすが課長ですね」

熊田:で、他には?」


佐藤:「ええ! 他に?

佐藤:もう終わりじゃないの?」


熊田:「だって俺は素人ですから、もっと教えてもらわないと・・・課長はパソコンに詳しいんですよね?」


佐藤:「そ、そうだな

佐藤:えーと・・・や、やっぱり分かりやすさってのが大事じゃないかな?」


熊田:「わかりやすさ・・・ですか?」


佐藤:「そ、そうだよ

佐藤:今回のパソコンには我が社の社運がかかっているんだ

佐藤:その社運がかかっているという事を分かりやすくだな・・・」


熊田:「社運を分かりやすく・・・ですか?」


佐藤:「そうだよ、社運だけじゃないぞ

佐藤:例えばだ、性能とか、サービスとかそういうのも分かりやすい方がいいな」


熊田:「そうですか・・・・さすが課長ですね

熊田:他には?」


佐藤:「もう行け!」


熊田:「へい」


噺家:という事で、熊さんは追い出されるように部屋から出ていきました

噺家:とはいえ、熊さんは今まで商品名なんて付けたことがないもんですから、

噺家:誰に何を聞けばいいのかが、さっぱりわかりません。

噺家:あてもなく、社内をブラブラ歩いておりますと、同期入社で経理課の花房さん、通称「花ちゃん」に声をかけられます。


花房:「くまくまぁ~」


熊田:「あぁ、花ちゃん」


花房:「くまくまぁ、どうしたの? 浮かない顔して」


熊田:「いや、実はさ・・・」


噺家:お花ちゃんに、かくかくしかじかと、これまでの経緯を一通り説明いたします。

噺家:すると花ちゃん


花房:「そっかぁ、くまくまも大変だね」


熊田:「花ちゃん、前から気になってたんだけどさ、その『くまくま』って変じゃないか?

熊田:俺は熊って呼んでくれればいいんだけど」


花房:「そんな事ないわよ、熊さんを『くまくま』って言った方が親しみが沸くでしょ?

花房:同じ言葉を繰り返すと親しみが沸くのよ」


熊田:「そうか、繰り返しで親しみねぇ・・・メモメモっと」


花房:「あぁ、そうだ

花房:パソコンの事聞きたかったら、技術部の『やぎやぎ』に聞いてみたらどう?」


熊田:「『やぎやぎ』って、八っさんの事?」


花房:「そう八木さんだから『やぎやぎ』」


熊田:「八っさんは確かに八木さんだけど」


花房:「親しみが沸くでしょ?

花房:『やぎやぎ』のところに行ってみたら?」


熊田:「わかった、ちょっと行ってみるよ、ありがとう」


(花と別れて歩き出す熊)

 

熊田:「繰り返すと親しみが沸くってのは分かったけど

熊田:やぎやぎっていうと、何か紙食ってるみてぇだな、白ヤギとか黒ヤギとか・・・

熊田:まぁ、八木さんを八っさんっていうのもどうかと思うけどな


熊田:お、ここだ、ここだ

熊田:こんちはぁ、八っさんいますか?」


八木:「おう、熊さん、どうした? こんな所に、珍しいな」


熊田:「いや、実は、今日はちょっと、八っさんに聞きたい事があってね

熊田:それで技術部まで来たって訳さ」


八木:「ほう、なんだい? 聞きたい事って?」


熊田:「ちょっと仕事でパソコンの事について調べててさ」


八木:「ほう、熊さんがパソコンをねぇ?」


熊田:「そうなんだよ、俺、パソコンなんて、からっきしだからさ

熊田:ちょっと教えてくれねぇかい?」


八木:「おう、いいよ、何でも聞いてくれ!」


熊田:「ありがたいねぇ

熊田:じゃぁさ、これを聞いたら『パソコンだな』って分かるものって何かあるかい?」


八木:「これを聞いたら『パソコンだな』って分かるもの?」

八木:なんだい、そりゃ?」


熊田:「そういうのが知りたいんだよ」


八木:「なんだかよくわからねぇが、パソコンといやぁ

八木:やっぱり、そりゃ『ペンティアム』だな」


熊田:「ペンティアム? 何だいそりゃ?」


八木:「インテルって会社のCPUだよ」


熊田:「インテルって会社のCPU? ますます分かんなくなってきた」


八木:「まぁ熊さんは、それ以上知ろうとしない方がいいな

八木:そういうもんだって覚えときな」


熊田:「そうかい・・・ペンティアム(メモを取る)

熊田:じゃぁ他には?」


八木:「他には、そうだな・・・

八木:ディスクトップってのは、聞けばパソコンってのがすぐわかる言葉だな」


熊田:「ほう・・・ディスクトップ・・・なんだいそりゃ?


八木:「そういう言葉だって覚えときな」


熊田:「なるほど・・・わかった

熊田:で、他には?」


八木:「ディスクトップと同じような言葉で

八木:ノートブックってのがあるな」


熊田:「なるほど・・・他には?」


八木:「タブレット端末」


熊田:「タブレット端末?」


八木:「そう、この、ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末っていうのが同じような感じの言葉だな」


熊田:「なるほどねぇ・・・ふむふむ(メモをとる)

熊田:他には?」


八木:「他にはって、熊さん、一体パソコンの何について知りたいんだい?」


熊田:「今度、うちの会社が出すパソコンあるだろ? それの性能とか」


八木:「なんだい、そういう事が知りたかったのかい、だったら早くそういいなよ」


熊田:「すまねぇ、俺も何を聞いていいか、さっぱりわかんなくてさ」

熊田:ちょっと分かりやすく教えてくれねぇかい」


八木:「まぁ、いいよ

八木:今度のパソコンの性能だな?」

八木:そうだなぁ・・・特徴といえば、やっぱり『オクタスレッド』の『オクタコア』だな


熊田:「なんだい、そのオタフクってのは?」


八木:「オタフクじゃねえよ、お好み焼きじゃあるまいし・・・

八木:いいかい、オクタってのは8って意味なんだ。

八木:で、さっき言ったCPUって所にスレッドとかコアってのが

八木:8つ付いているっていうのが、

八木:『オクタスレッド』の『オクタコア』っていうんだよ」


熊田:「なんだいそのスレッドとかコアってのは?」


八木:「熊さんは、それ以上知ろうとしない方がいいな

八木:まぁ、とにかく、凄いんだなって思ってりゃいいよ」


熊田:「そんなに凄いのかい、そりゃ」


八木:「凄い!」


熊田:「そうかい、そりゃいいな ふむふむ(メモを取る)

熊田:オタクが・・・なんだっけ?」


八木:「オタクじゃなくて、オ・ク・タだよ。

八木:『オクタスレッド』の『オクタコア』だよ」


熊田:「おお、そうだった、そうだった ふむふむ(メモを取る)

熊田:で、他にはなにかあるかい?」


八木:「メモリーがイチニッパ」


熊田:「なんだいその、イチニッパってのは?」


八木:「メモリーが128ギガバイトあるのさ」


熊田:「目盛りって何の目盛りだい? パソコンで何か図るのかい?」


八木:「目盛りじゃなくて、メモリーだよ

八木:まぁ、熊さんはそれ以上知ろうとしない方がいいから、目盛りでいいよ

八木:まぁ、とにかくだ、メモリーがイチニッパギガバイトあるって事だよ。」


熊田:「ふーん、メモリねぇ・・・・

熊田:で、なんで128って言わずにイチニッパっていうんだい?」


八木:「そりゃ、昔っから、16、32、64、128っていう倍倍になっていく数字を

八木:イチロク、ザンニ、ロクヨン、イチニッパっていうんだよ。

八木:どうだい、格好いいだろ」


熊田:「へー、麻雀みてぇだな」


八木:「知ってんじゃねぇか

八木:パソコンもそれと同じなんだよ、まぁとにかく凄いんだなって思ってりゃいいよ」


熊田:「凄いのかい?」


八木:「凄い! 

八木:こいつは凄いよ」


熊田:「ほう、そうかい、そりゃいいな

熊田:で、他には?」


八木:「性能的なものっていやぁそれくれぇかな」


熊田:「そうかい・・・ふむふむ

熊田:それじゃ、サービスって事では何か特徴あるかい?」


八木:「サービスねぇ・・・・」


熊田:「何かねぇのかい、特徴的な事は」


八木:「うーん、サービスになるかどうか分からねぇけど

八木:エクセル、ワードにパワポにフォトショだな」


熊田:「何かまた難しそうなのが出てきたな・・・

熊田:何だいそのお経みたいなのは」


八木:「うーん、分かりやすくいうと、

八木:プレインストールのAPIだよ」


熊田:「余計わかりにくいじゃねぇか、」


八木:「で、そのAPIのDVDが付いてくる」


熊田:「もう、何言ってんだか、俺にはさっぱりわからねぇな

熊田:お経より難しいんじゃねぇか・・・

熊田:で、そのプレステーションのDVDとかが付いてくるのかい?」


八木:「ついてこねぇよ、そんなもん(アドリブ)

八木:いいかい熊さん、

八木:こういう事は変に間違えるとややこしくなるからな、気をつけな」


熊田:「そうかい? すまねぇな」


八木:「まぁ、熊さんは『最初からいろいろ入ってるんだな』って覚えておけばいいよ」


熊田:「わかったよ」


八木:「あぁ、それと、DVDのアクセもついてくるからな」


熊田:「DVDもあせくせ働いてるのかい?」


八木:「あせくせじゃなくて、アクセだよ

八木:どうせ、分かんないだろうから、いろいろ入ってお得だなって、そう覚えときな」


熊田:「わかった、わかった メモメモ

熊田:で、そんないろいろ入っているなら、さぞかしお高いんでしょ?」


八木:「何、通販番組みたいな事言ってやがんだよ。

八木:いや、それがな、なんでも社運を賭けた決算価格の大特価ってんで

八木:三万九千八百円だそうだ」


熊田:「それって、安いのかい?」


八木:「安い! 凄く安いな」


熊田:「なるほどねぇ・・・ふむふむふむ

熊田:ありがとう、これくらいでいいや、助かったよ」


八木:「ところで熊さん、なんでそんな事知りたいんだい?」


熊田:「いや、何ね

熊田:今度、このパソコンの名前を考えろって言われたんで、いろいろ聞いて回ってるのさ

熊田:んでも、これだけ分かれば十分だな」


八木:「おいおい、そんな事なら早くいってくれよ

八木:さっきの話は、名前に使うようもんじゃないぞ」


熊田:「いいって、いいって、俺はよくわからないし

熊田:ダメだったら、課長がダメっていうだろ、じゃぁな、ありがとうよ」


八木:「いや、そういう問題じゃないんだよ、おい熊、ちょっとま・・・

八木:あぁーあ、行っちまいやがった、

八木:ったく、どうなっても知らねぇぞ」


(熊田が歩いている)


熊田:「いや、でも、八っさんは物知りだねぇ、まったく

熊田:おかげで他所へ行く手間が省けたってもんだ、

熊田:さて後はこれをどうするかだなぁ・・・」


花房:「くまくまぁ~、やぎやぎの所はどうだった?」


熊田:「お、花ちゃん、いやぁ行ってみてよかったよ

熊田:花ちゃんの御かげて助かった」


花房:「よかったぁ、じゃ、くまくま頑張ってねぇ~」


熊田:「花ちゃんは可愛いね

熊田:お、そうだった、繰り返し、繰り返しっと・・・」


噺家:なんのかんのありまして、熊さんは自分の課にもどってまいります。

噺家:メモを片手に、どうしようか、あぁしようか、こうしようか、いろいろ悩みます。

噺家:あちらを立てれば、こちらが立たず、

噺家:こちらを立てれば、あちらが・・・・なんて考えておりましたが

噺家:結局、面倒臭くなってまいりまして、良くわかんないし「全部使ってしまおう」って事になってしまいました。


噺家:そして、いよいよ会社の偉いさん方があつまる重役会議。

噺家:熊さんの考えたパソコンの名前を、発表する日がやってまいりました。

噺家:会議室には、社長を筆頭に、偉い人立場がずらぁ~と並んでおります。

噺家:そこへ熊田こと熊さんが呼ばれいます。


佐藤:「えー、それではこれより、我が社の社運を賭けたパソコンの名前を発表したいと思います。

佐藤:じゃぁ、熊田くん、発表して」


熊田:「はい・・・・

熊田:えー、この度、我が社が発売するパソコンの名前は


熊田:『ペンティアム、ペンティアム

熊田:インティル会社のCPU

熊田:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

熊田:オクタスレッドのオクタコア

熊田:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

熊田:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

熊田:プレインストールのAPI、APIのDVD

熊田:DVDのアクセも付けて

熊田:社運を賭けた決算価格の大特価で

熊田:39800円』

熊田:です


噺家:もう、これを聞いた瞬間、会議室の中は、シーーーーンと水を打ったような静けさ

噺家:というのも、ここにいる偉い人達全員が、パソコンの素人で、まったく分かっておりません。

噺家:みんなが「何かおかしいだろう」とは思っているのですが、自分が何かを口にして恥をかきたくない

噺家:ですから、誰かが何かを言うのを全員が待っているといった状況

噺家:その中で、口を開いたのは熊さん


熊田:「佐藤課長、どうですか?」


佐藤:「え!、あ・・・えーーと・・村田部長、いかがでしょうか?」


村田:「え!、あぁ・・・そうだな・・・社長、いかがでしょうか?」


社長:「え!、あぁ・・・うん・・・い、い、いいんじゃないかな、村田君、君はどう思う」


村田:「はい、私もそう思っておりますが、佐藤君、君はどう思うね」


佐藤:「はい、部長がそうおっしゃるなら、いいんじゃないかと思います

佐藤:熊田君、この名前でいいんじゃないかな」


熊田:「はい、ありがとうございます」


噺家:という事になりまして、みんなが「おかしいな、おかしいな」と思いながらも

噺家:誰からも意見がでず、結局この社運を賭けたパソコンの名前が

噺家:『ペンティアム、ペンティアム

噺家:インティル会社のCPU

噺家:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

噺家:オクタスレッドのオクタコア

噺家:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

噺家:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

噺家:プレインストールのAPI、APIのDVD

噺家:DVDのアクセも付けて

噺家:社運を賭けた決算価格の大特価で

噺家:39800円』

噺家:という名前で発売される事となりました。



店員:「店長、この新しいパソコン、どこに置きましょう?」


店長:「え? 新しいパソコンって?」


店員:「この

店員:『ペンティアム、ペンティアム

店員:インティル会社のCPU

店員:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

店員:オクタスレッドのオクタコア

店員:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

店員:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

店員:プレインストールのAPI、APIのDVD

店員:DVDのアクセも付けて

店員:社運を賭けた決算価格の大特価で

店員:39800円』

店員:ですよ。


店長:「あぁ、この

店長:『ペンティアム、ペンティアム

店長:インティル会社のCPU

店長:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

店長:オクタスレッドのオクタコア

店長:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

店長:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

店長:プレインストールのAPI、APIのDVD

店長:DVDのアクセも付けて

店長:社運を賭けた決算価格の大特価で

店長:39800円』

店長:か・・・一応、新製品だから一番前に置いておけよ」


店員:「分かりました」


噺家:こうして、新発売のパソコンを一番目立つ場所に置いたもんですから、

噺家:やはり気になるお客さんも出てまいります


客:「ちょっとすいません」


店員:「はい、なんでしょう?」


客:「ちょっとこの

客:『ペンティアム、ペンティアム

客:インティル会社のCPU

客:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

客:オクタスレッドのオクタコア

客:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

客:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

客:プレインストールのAPI、APIのDVD

客:DVDのアクセも付けて

客:社運を賭けた決算価格の大特価で

客:39800円』

客:これを、見せてくれませんか」


店員:「はい、この

店員:『ペンティアム、ペンティアム

店員:インティル会社のCPU

店員:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

店員:オクタスレッドのオクタコア

店員:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

店員:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

店員:プレインストールのAPI、APIのDVD

店員:DVDのアクセも付けて

店員:社運を賭けた決算価格の大特価で

店員:39800円』

店員:ですね、どうぞ」


客:「へーこの

客:『ペンティアム、ペンティアム

客:インティル会社のCPU

客:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

客:オクタスレッドのオクタコア

客:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

客:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

客:プレインストールのAPI、APIのDVD

客:DVDのアクセも付けて

客:社運を賭けた決算価格の大特価で

客:39800円』

客:は、お値打ちだね」


店員:「はい、この

店員:『ペンティアム、ペンティアム

店員:インティル会社のCPU

店員:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

店員:オクタスレッドのオクタコア

店員:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

店員:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

店員:プレインストールのAPI、APIのDVD

店員:DVDのアクセも付けて

店員:社運を賭けた決算価格の大特価で

店員:39800円』

店員:は、当店でも大人気です。」


客:「そうか、じゃ、この

客:『ペンティアム、ペンティアム

客:インティル会社のCPU

客:ディスクトップ、ノートブック、タブレット端末

客:オクタスレッドのオクタコア

客:メモリはイチ、ニッ、パー ギガバイト

客:エクセル、ワードにパワポにフォトショ

客:プレインストールのAPI、APIのDVD

客:DVDのアクセも付けて

客:社運を賭けた決算価格の大特価で

客:39800円』

客:をいただこうかな」


店員:「客様、申し訳ございません

店員:もう閉店のお時間です。」


おわり

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