紙で読みたい作品

本作は純粋なミステリやサスペンスとしての★3は難しいと思った。
レビューを読んだうえで読まれる方に先にそう告げさせていただく。

かと言って私がとても魅力を感じた作品でもあるのも間違いなく忖度や馴合で3をつけた訳ではないので良ければ拙い感想に付き合っていただきたい。

青伊藍さんの作品は人物描写が繊細で豊かだ。それは本作でも顕著であり(義)兄弟達の揺れ動くビッグな感情と衝動にえもいえぬ不安感を始終感じることになる。

前作で兄弟の特大感情歪み風味を浴びたが、今回はレナリア嬢の疵が絡むことで更に歪な関係性が構築されています。
レナリア嬢は言ってしまうと大分重い女子であり(ルイル君も同類だけど)読んでいてかなり読者のメンタルを削ってくる。読むのにかなり時間がかかったし読み返しに何度も戻りました。しかし削ってくると云うのは同時に彼女の感情に向き合い丁寧に描写された結果と考えます。
一言に纏めてしまうとエモい。マブい。
細かいエモポイントは勿体無いので自分で読んで欲しい。
レナリア嬢の再起としてのストーリーには★4を投げたいと思いました。

個人的には語り部の一枠としてしがらみのない探偵役の大人が一人いたら読みやすくなった気がするのと、どうしてもミステリとしての雑さが気になってしまいましたが、読み応えがあり十分に次回作に期待させてもらえる一本でした。

次回作も楽しみにしています。