ハルヒシリーズの続刊が出ないのは出来の良すぎる二次創作が発表されて作者がショックを受け筆を折ってしまったから。
ハルヒシリーズのファンならそんな噂を聞いたことがあるのではないでしょうか?
自分はつい先日までは「所詮ただの噂だろ。どんなに出来が良くても二次創作は二次創作でしかない」と思っていたのですが本作を読んで考えが変わりました。
これほどの二次創作を出されてしまったらやる気なくなるかもなあ…と思ってしまいました。
本作は憤慨までが発売された時点の作品で、その後に発売された作品の伏線や、ロジックで正解を導くことが不可能な伏線には触れていないものの、それ以外に関しては完璧と言っていいほどに伏線を回収し物語を綺麗にまとめています。
テキストも原作に似てレベルが高く、文量も非常に多く、ハルヒシリーズの完結編として文庫本として発売されてもおかしくないほどのクオリティです。
原作者・谷川流氏が概ねの方向性として本作のような畳み方を考えていたと言われても納得してしまうほどの二次創作作品でした。
冒頭で述べた噂の真相がどうであれ、今やハルヒシリーズの公式での完結はほぼ絶望的となってしまっている状況です。
ハルヒシリーズのファンなら是非本作を一読し、ハルヒシリーズはもしかしたらこうやって完結していたのかもしれないな、と自分の中で一区切りつけてはいかがでしょうか。
私は彼のライトノベルSF小説が刊行された当時ザ・スニーカーという雑誌を購読していた。RAGNAROKとトリニティブラッドをを読むためだ。
水星、どころかミサイルのように現れた涼宮ハルヒの憂鬱という怪物はアニメ化に伴い雑誌の紙面を塗り替えた。(それまでも画一化されていたわけではなかったが)
年の半分以上はいわゆる萌え絵が表紙を飾り、毎度のように巻頭カラーには奴がいた。
何年もそんな様子が続き、メディアミックスが洪水の如く作られ引いていく中、涼宮ハルヒの憂鬱は小説の続刊が全く出なくなった。
売れに売れた売れっ子が何故とまったか我々は分からず、インターネットに答えを探した。
噂はすぐに出てくる。所謂都市伝説と言っていい。
出来の良すぎる二次創作に作者がショックを受け筆を折ったと云うものだ。
馬鹿馬鹿しい、当時はそう思い私は涼宮ハルヒの憂鬱を忘れていった。完結しない悲しみと寂しさを感じながら。
もしこれが本当にそうだとするならば私は納得せざるを得ない。こんな物を見せられたら私だって結末を投げ捨てたくなる。完璧だ。
筆者は涼宮ハルヒの憂鬱を読み込み、シリーズを愛し、キャラクターの幸福を願ったのだろう。
長谷川流の綿密に面白おかしく組み上げた千年パズルの最後のピースを筆者は自力で作り上げてしまった。
私はこの二次創作を読んでよかったと思う。
青春の古傷を今ようやく治療できた気がしたからだ。
今は寧ろこの結末以外無いだろうとすら思う。
願うのは投稿者が本物の当稿の筆者であり、今も小説を書き続けていることだ。貴方の書いた推理小説を、私は読みたい。
かめ兄さん ちょいと昔話をしてもいいでしょうか
あっしが二次小説というものを知ったのは一昔前、
VIPスレで毎晩釣りと祭りに明け暮れていた頃でありやした
プリンと名の付く奇っ怪なスレでそこだけ熱く空気が渦巻いて
火花が散り研がれる様子はまるで鉄を鍛錬する鍛冶屋のような場所で
あっしはそのエネルギーに触れることも及ばず遠巻きにROMっておりました
兄さんの微笑を読んでからというもの
僭越にもこれを超えたい、これを超える構成を書きたいと
寝てはネタを考え目が覚めてはキーボードを叩き
はじめて文章らしきものを綴ったのであります
素人作でしたが最初の一投目からお褒めをいただき
二次創作ってええなあと感動したのを覚えております
あれから十年、ながるんの作った世界がまるでバブルのように分離し伝搬し
巣立っていった感性達が今でも息づいているのが嬉しくて仕方がないんす
ありがとう。夢みる力を、世界を綴る喜びを。
涼宮ハルヒシリーズはその人気に比例した形で膨大な数の二次創作物が存在しますが、その中で一、二を争う名作であるこの「涼宮ハルヒの微笑」。その完成度はこの作品の作者を偽称する者が出たり、ボイスドラマ(三次創作)が作られたりするほど。考えられません。
この作品発表当時までの原作の伏線を余すところなく回収し、ラストまで着実に、かつ動きをもたせて進めていく様は圧巻です。やはりこのレベルとなると原作への相当な「愛」がないと辿り着けないと思われます。尊敬します。
涼宮ハルヒシリーズのファンは必見ですし、原作未見の方もわざわざ原作を読んででもこの作品を見る価値はあります。
涼宮ハルヒシリーズは完結しておらず、だからこそどっぷりハマれる感じもします。続きが未知の世界だから。
それを文字で表すエネルギーは相当のものだったはずです。敬意を表します。
原作涼宮ハルヒシリーズには未回収の伏線や謎が多数あり、これがいまだに多くの読者がシリーズ復活を望む理由となっています。
ハルヒ二次作品の中で至高の名作と誉れ高いこの作品、伏線回収とエンディングのまとめ方には往年のファンはもちろん未読の読者もニヤリとすることでしょう。(予め、原作シリーズの再読を推奨)
旧作を某所からダウンロードして時折読み返していますが、今作は旧作対比して読みやすさが増加し、全般的にブラッシュアップされています。
が、あえて作者様は今風の文体に修正することもなく、意図的に若書きのところも若干残されているように見受けられます。
その年齢、時代だから書ける内容がある。そこのところを作者様はよくわかっておられるのだな、と感心するところしきりです。
作品を未読の方には伝えられないこともあり隔靴掻痒ですが、この小説にはライトノベルの魂がある。少年の夢をパンパンに詰め込んで、読者をひっつかんで突っ走ります。
この疾走感がたまらない。それにしてもキョンはかっこよすぎ、モテすぎ……そこがまたいい。
原作のあらゆる伏線がバッサバッサと快刀乱麻のごとく解けていく。読みながら「ああ、それもありだな」と思わせるところはさすが。
ハルヒファンには全力でおすすめです。