バーカウンター2(マルガリータ)

Danzig

第1話

バーカウンタシリーズ2(マルガリータ)


バーカウンターで玲子が一人

マルガリータというカクテルを飲んでいる。

そこへ一人の若い女性が入ってくる

バーテンダー:いらっしゃいませ


バーテンを無視して、

玲子に近づく女性(由美)


由美:あの・・・玲子さん


声をかけてきた女性の方へ振り向く玲子


玲子:あら?

玲子:あなたは確か・・・


由美:由美です。


玲子:そうだったはね

玲子:どうしたの?


由美:ここへ来れば玲子さんに会えると聞いて・・・


何かしら意気込んでいる感じの由美


玲子:そうだったの


由美:はい

由美:玲子さん、それで、あの・・・


玲子:まぁ、隣どうぞ


由美:あ・・・はい・・・それじゃ・・・


玲子の隣に座る由美


玲子:何か飲む?


由美:あの・・・私、こういう所わかんなくて


玲子:そう・・・

玲子:マスター、この人にロングで何かお願い


バーテンダー:かしこまりました


カクテルを作るバーテンダー

それを見つめる玲子

どこかしら話かけづらい雰囲気を醸し出している


由美:玲子さん・・・あの・・・


玲子:私ね、バーテンダーさんがお酒作ってるところ見るの、好きなのよね

玲子:なんか指先に見とれちゃうっていうか・・


由美:そうなんですか・・・


バーテンダー:お待たせいたしました

バーテンダー:チャイナブルーです


由美:あ、ありがとうございます

由美:わぁ、きれいな色・・・


玲子:どうぞ

玲子:まずは、飲んでからね


由美:はい・・・


カクテルを口にする由美


由美:おいしい!


玲子:そう、よかった


ようやく由美が落ち着いた様子だと感じる玲子


玲子:ところで、

玲子:何か私に話があったの?


由美:はい・・・

由美:あの・・・聞いたのですが

由美:玲子さん、昔、たかしさんと付き合ってたとか


玲子:あぁ・・・その事?

玲子:昔ね


由美:どうして、彼と別れちゃったんですか?


玲子:いろいろあってね


由美:いろいろって何ですか?

由美:聞かせてください


玲子:そんな事聞いたって、詰まんないわよ


由美:私、あの人の事がもっと知りたいんです


玲子:ふーん・・・

玲子:マスター、マルガリータおかわり


バーテンダー:かしこまりました


バーテンダーの作る指先を見つめる事で

由美をいなす玲子


バーテンダー:お待たせいたしました


玲子:ありがとう


カクテルを口にする玲子

一口飲んだ後


玲子:彼の事が好きなの?


由美:はい


玲子:そう・・・


グラスを見つめる玲子


玲子:でも、彼はやめておいた方がいいわよ


由美:どうして・・・ですか?


玲子:うーん・・・


由美:玲子さん、あの人の事、まだ好きなんですか?


玲子:まさか

玲子:ただ・・・


由美:ただ・・なんですか?


玲子:あなたにはまだ早いかな


由美:そ、それはどういう意味ですか

由美:私が子供っぽいからですか?

由美:そりゃ、玲子さんのようには・・・

由美:でも私


玲子:ふふふ、そうじゃないの


由美:じゃぁ  どうして・・・


玲子:あなた、傷つく事 怖くない?


由美:こ、怖くなんてありません


玲子:そう・・

玲子:彼の事、本当に好きなのね

玲子:でも、それだから まだ早いのかな


由美:どういう事ですか?


玲子:・・・・


由美:教えてください


カクテルを見つめながら口を開く玲子


玲子:傷つく事が怖くて、怖くて

玲子:傷つけてしまう事も怖くて

玲子:一緒にいたら壊れてしまいそうな程怖くて

玲子:怖さにおびえて身動きが取れなくなってしまっても・・・

玲子:それでも、愛さずにはいられない、離れてなんていられない・・・


玲子:そんな風にならないと、彼の悲しみは見えてこないわよ


由美:・・・(言葉にならない躊躇い)


玲子:彼を支えられるなんて、思わない方がいいわね


由美:そんな、私はただ・・・


玲子:あぁーあ、詰まんない話しちゃったね

玲子:さて、私はもう行くわね


席を立とうとする玲子


由美:玲子さん・・・あの・・・私・・・


玲子:もし、彼の事が本当に好きだったら

玲子:待ってみる事ね

玲子:私には出来なかったけど・・・


由美:玲子さん・・・


玲子:あぁーあ、何で私ってこんな時にマルガリータなんて飲んでたのよ・・・

玲子:マスター、ごちそうさま


バーテンダー:恐れ入ります


由美:あの・・・


玲子:じゃぁね


バーテンダー:ありがとうございました


立ち去る玲子


由美:あの・・・玲子さん・・・



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