何でも聞いて、あ・げ・る

Danzig

第1話

なんでも言う事を聞いてあげる



女の元に嬉しそうにやってくる男


男:〇〇ちゃん、

男:ジャジャーン!

男:これ見て!


女:え、何?

女:はっ!

女:それはもしかして!

女:破滅の八重歯、10周年特別企画、伝次郎の限定フィギュア!


男:そう当選倍率一万倍の超レアアイテムだよ


女:すごーい


男:じゃぁ、約束通り、〇〇ちゃんにあげるね


女:ホント!

女:嬉しい、ありがとう


男:その代わり、何でも僕のいう事聞いてよ


女:え?


男:このアイテムをゲットして、〇〇ちゃんにあげたら

男:何でも僕の言う事を聞いてくれるって言ったじゃないか


女:あれは、ほら・・つい、勢いで


男:勢いでもなんでも、約束は約束だよ!

男:これの応募券手に入れるために、貯金はたいて、餅(もち)エッグ3000個買ったんだから


女:えーーー

女:ある意味、すごっ!


男:ねぇ、いいでしょ

男:いう事、聞いて、聞いて、聞いてぇ~


女:もう・・・

女:子供か!


男:何と言われようとも!


女:分かったわよ、

女:いう事、聞いてあげるわよ


男:ホント!


女:まぁ・・約束だからね


男:やったぁ


女:その代わり、絶対、フィギア頂戴よ!


男:うん、あげる、あげる


女:・・・で、

女:何がして欲しいの?


男:そこは、やっぱり定番の・・・


女:定番の?


男:お医者さんゴッコぉ!


女:ええええええ


男:ねえ、いいでしょ、いいでしょ


女:嫌よ


男:いう事聞いてくれるって、言ったもん、言ったもん

男:やってくれなきゃ、やだ、やだ、やだ、やだ


女:ホントに子供か!

女:もう・・・

女:分かったわよ、やってあげるわよ


男:ホント?


女:ホントじゃないって言ったら、また、駄々(だだ)こねるんしょ?


男:うん、こねる、こねる


女:ったく・・・

女:で、あなたは何をやるの?


男:そりゃ勿論、お医者さん


女:・・・・で、私は?


男:看護師さんか、患者さん


女:どっち?


男:うーん・・・迷うけど、〇〇ちゃんは患者さんやって


女:はいはい


男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す♪


 (劇開始)


女:先生!、どうか、父の命を救ってください


男:うーん、ちょっとガンの進行が速いんですよね


女:もう、ダメなんですか?


男:難しいですが、今のステージであれば

男:手術をすればなんとか・・・


女:助かるんですか?


男:確率は五分五分といったところでしょうか


女:お願いします先生、どうか父を、父を助けてください



男:違います


女:え?


男:違うでしょ!


女:何が違うのよ



男:こんなのが、やりたかったんじゃない!


女:だって、お医者さんと患者さんじゃない


男:違うじゃん、

男:それ患者さんじゃなくて、患者さんの家族じゃん


女:もう・・・

女:一緒でしょ


男:違うって、やりたいのは、そういうのじゃないの

男:ちゃんと患者さんやってよ


女:もう・・・わかったわよ


男:やったぁ

男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す


 (劇開始)


女:先生、私の命を助けてください


男:うーん、ちょっとガンの進行が速いんですよね


女:もう、ダメなんですか?


男:難しいですが、今のステージであれば

男:手術をすればなんとか・・・


女:助かるんですか?


男:確率は五分五分といったところでしょうか


女:お願いします、先生、私の、私の命を助けてください


男:違います!


女:何が!


男:違うんだもん、そうじゃないんだもん


女:何が違うのよ


男:お医者さんと患者さんといえば、診察でしょ!


女:今、診察してたじゃない


男:そうだけど、違うの!


女:何が違うのよ


男:もう、医者と患者はいい

男:医者と看護師さん、やりたい


女:えー

女:もう、やったからいいじゃない


男:やだもん、やだもん

男:思ったのと、違ったんだもん

男:お医者さんと看護師さんやりたい

男:やりたい、やりたい、やりたい


女:もう・・・

女:わかったわよ、

女:仕方ないから、やってあげるわよ


男:やったぁ


女:ったく・・・

女:どこまで付き合わされるのよ


男:いいじゃん、いいじゃん

男:ね、フィギアあげるから


女:もう・・・

女:絶対、頂戴よ!


男:分かってるって


男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す


 (劇開始)


女:バイタル。血圧67の128、心拍数79でサイナス


男:では今から手術を始める

男:メス


女:はい


男:モノポーラ


女:はい


男:これは酷いな


女:かなり転移していますね


男:難しい手術になりそうだな


女:そうですね・・・

女:大丈夫ですか


男:なぁに、これくらいの手術は何度も経験しているさ


女:さすが先生


男:続けるぞ

男:メッツェン


女:はい


男:コーピン


女:はい


男:鉗子(かんし)


女:はい



男:違う


女:はい?


男:ちが~う!


女:え?

女:今、ちゃんと鉗子(かんし)渡しましたよ先生


男:違うの!

男:そうじゃないの!

男:手術がしたいんじゃないんだって


女:じゃぁ、何!


男:もっと・・・ちがう・・・こう・・・ムフフな・・・

男:

女:ムフフ?


男:いいの、いいの

男:〇〇ちゃんは、そういう事気にしなくて


女:あっそう・・・


男:あああああ、もう、お医者さんゴッコはいい

男:違うのがやりたい


女:えーーー

女:お医者さんゴッコやりたいって言ったから

女:やってあげてたんじゃない


男:こんなお医者さんゴッコなんて、誰も、やりたいと思わないよ


女:じゃぁ、何がしたいのよ


男:家庭教師と生徒


女:何それ?


男:そういうのがあるの


女:どこにあるのよ?


男:〇〇ちゃんはそういう事を気にしなくていいの


女:ふーん

女:で、どっちが何をやるの


男:そりゃ、〇〇ちゃんが生徒だよ


女:私が生徒?


男:そう、JK


女:私、JKやるの?


男:うん


女:変態?


男:なんと言われようとも!


女:・・・ったく

女:分かったわよ、やればいいんでしょ


男:うん


女:しょうがないわね


男:やったぁ

男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す


 (劇開始)


女:先生


男:なんだい、〇〇君


女:先生が、この前教えてくれた所、間違ってるって


男:え? ホント?


女:学校で、先生にそう言われましたよ


男:どこ?


女:ここの所?


男:これ間違ってるの?


女:ええ、

女:先生は八岐大蛇(やまたのオロチ)を退治したのは

女:日本武尊(やまとたけるのみこと)って言ってたじゃないですか

女:正しくは

女:素戔嗚尊(すさのおのみこと)なんですって

女:

男:あぁ、そうか・・・


女:もう、シッカリして下さいよ先生!


男:違うって・・・


女:違わないですよ、学校の先生がそう言ってましたから


男:そうじゃなくて!


女:え?


男:こんなのが、やりたかったんじゃない!


女:何よ、

女:家庭教師と生徒がやりたかったって言ったじゃない

女:私、頑張ってJKやったんだから


男:違うでしょ、世の中の家庭教師とJKって、違うでしょ!


女:何が違うのよ


男:もっと・・・こう・・・


女:もっと、何?


男:あああああ、もう、家庭教師と生徒はいい

男:違うのがやりたい


女:えーーー

女:また?


男:だって思った事、出来てないんだもん


女:そんなの知らないわよ


男:違うのやってくれないと、フィギュアあげない


女:そんなのズルいわよ


男:やってくんなきゃ、やだやだやだやだ


女:ホント、子供か!


男:やってよ、やってよ


女:わかったわよ、やればいいんでしょ


男:うん


女:で、今度は何をやればいいの?


男:やっぱり・・・

男:学校の先生とJK がいいな


女:またJK?


男:うん


女:やっぱり変態?


男:なんと言われようとも!


女:ふーん

女:で、私がJKやればいいの?


男:そりゃ、そうさ


女:はぁ(ため息)


男:でね、今回は

男:教室で女子高生と先生が二人きりで進路指導(しんろしどう)ってのがいいな♪


女:なんか今度は具体的になったわね


男:そりゃ、さっきみたいなのは嫌だからね


女:あらそう・・・

女:まぁいいわ、やってあげるわよ


男:やったぁ

男:

女:ったく・・・


男:今度こそ、期待してますよ♪


男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す


 (劇開始)


女:先生


男:なんだい、〇〇君


女:先生、私、進学せずに就職しようと思います


男:何を言ってるんだ〇〇くん

男:勿体ないじゃないか


女:でも、大学はお金もかかるし・・

女:私、早くお金を稼(かせ)げるようになりたいんです。

女:家族の為にも


男:君の成績なら、いい大学に行けるよ

男:今すぐ就職するよりも、長い目で見れば、そっちの方が絶対いいよ


女:でも、お父さんが・・・


男:先生が君のお父さんを説得してみるよ

男:だから、進学を諦(あきら)めないでくれ


女:先生、

女:でも・・・私


男:違うんだよ、〇〇君


女:何が違うんですか、先生


男:違~う!、違う、違う、違う!

男:こういう事がやりたいんじゃないの!


女:もう、何よ!

女:「先生と生徒で進路指導(しんろしどう)」ってのが、やりたいって言うから、

女:やってあげたんじゃん


男:違うんだもん・・・・


女:だから、何が!


男:違うんだもん、世の中の「先生と生徒の進路指導」って違うんだもん


女:「世の中の」って何よ?


男:あああああ、もう先生とJKはいい

男:違うのやりたい


女:えーー

女:まだやるの?


男:だって、思ってたのと、違うんだもん


女:そんなの、知らないって


男:やりたい、やりたい、やりたい、やりたい


女:分かったから、分かったから

女:もう・・・


男:やってくれる?


女:仕方ないでしょ

女:でも、これが最後よ


男:分かったよ・・(不満そう)


女:で、何がやりたいの


男:お店の補導員と、万引きしたJK


女:JKは、どうしてもしたいんだ


男:うん


女:変態確定ね


男:何と言われようとも!


女:・・・

女:で、私がJKやればいいのね


男:うん、勿論


男:でね、万引きを見つかったJKが

男:お店の補導員(ほどういん)の事務所(じむしょ)に連れてこられて

男:二人きりで尋問(じんもん)されるの


女:よく、そんなシチュエーション、思い浮かぶわね


男:まぁ、思い浮かぶというか、見てるというか・・・


女:見てる?


男:いやいや

男:とにかく、そのシチュエーションでやりたい!


女:わかったわよ

女:本当にこれで最後だからね


男:うん、分かった


女:はぁ、

女:やっと終われるわ・・


男:それでさ


女:まだ何かあるの?


男:うん、

男:今度は僕からセリフを言うね


女:どうして?


男:だって、〇〇ちゃんからセリフを言うと

男:思ったのと、違うのになっちゃいそうだから


女:・・・わかったわよ・・・


男:じゃぁ、僕のセリフからね


女:はいはい


男:じゃぁ、よろしくお願いしま~す


 (劇開始)


男:君、こんな、万引きなんてして・・・


女:ごめんなさい


男:これが欲しかったんか?


女:・・・・はい


男:物を盗んじゃいけないって、知らない訳でもないだろう


女:・・・・はい、知っています


男:ったく、そういう人間はキチンと指導(しどう)しないとな


女:許してください


男:ダメだな

男:万引きは立派な犯罪(はんざい)だからな


女:そんな・・・


男:で、連絡するのは、学校と警察と、どっちがいい?


女:どっちでもいいです。


男:へ?


女:私、どっちでもいいんです。

女:どうせ私は、不良のレッテルを張られてるし

女:学校も面白くないし

女:退学になってもいいんです


男:君、そんな事言っちゃダメだよ

男:今からでも、真面目にやって、学校だけでも卒業しなきゃ


女:だって、私、学校に行っても皆から避(さ)けられてるし

女:先生だって、まともな目で私を見てくれないし


男:そうだったのか


女:今日だって、もう捕まってもいいかなぁって、万引きしたんです。


男:ダメだよ、もっと自分を大切にしなきゃ・・・


女:そんな事言ったって、

女:私の事、誰も分かってくれないし


男:そんな事ないよ、おじさんは分かるさ

男:こういう補導員なんてやってるとさ、よくわかるんだ


女:おじさん・・・


男:違うでしょ!


女:もう、何が違うのよ

女:言われた通りにやったじゃないの


男:こんなの違う!


女:何が違うのよ


男:「お願いだから学校には連絡しないで・・・」

男:って言うでしょ普通


女:普通ってなによ


男:いや・・・普通は普通だよ、みんなそう言うじゃん


女:みんなって、あんた補導された所、見たことあるの?


男:実際のは無いけど・・・


女:「実際のは」って何よ


男:いやいや、〇〇ちゃんは知らなくても・・・


女:とにかく、約束通りやったんだから

女:フィギア頂戴!


男:分かったよ・・・

男:はい(不満そう)


女:やったぁ

女:嬉しい


男:〇〇ちゃん


女:(上機嫌)何?


男:さっきから思ったんだけどさ

男:〇〇ちゃんって、わざとやってた?


女:え?

女:・・・な、何の事?


男:やっぱり

男:わざと、はぐらかしてたんでしょ・・・


女:・・・・テヘ♪


男:(アドリブ)


女:(アドリブ)


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