後書き
というわけで、最後までお読みくださったという前提でこれを書いてます。
思いっきりネタバレしまくるので、まだ読んでない人はいったん戻って、本編読んで下さい。
いや、結構マジで。
ネタバレしたらこの話は面白くないとは思うので。
ネタが割れてから読み返すと『なるほど~』みたいなところもあるとは思いますが、最初からそれだとかなり微妙かとは。
ちょっと改行入れよう。
さて。
ジャンルすら作品の表現のネタにある意味使った本作、いかがだったでしょうか。
実のところ、意識はしてませんでしたが、話のプロットがほぼほぼ出来上がってから、「あ、これって映画の『猿の惑星』だよなぁ」とは思いました。
というかそこから着想を得たと言われても仕方ないとは思います……が。
この話を考えるにあたってベースになったのは、『本好きの下剋上』(WEB版)です。それがなぜこうなった?というレベルで最初の着想とはまるで別物になってますけどね。
でも本当にそうなんです。
最初は、素直に異世界転生したキャラが、『本好きの下剋上』の世界のような箱庭同然の世界の謎を解き明かすという話でした。
きれいに円形の人が住める領域があって、その外側は人が生存できない領域という感じになってる世界で。
そういう『何かに作られた世界』の謎を解き明かす話とか面白いかも、と考えたはずが……どこをどうやったらこうなるんでしょうね。
ホントに自分の思考の変遷過程が全く分からないのですが、気付いたらこうなってました。異世界転生とかの理屈を突き詰めようとして、色々こねくり回した結果なんですが、原型留めてなさすぎですね(笑)
ただ、結果としてそれなりにまとまった話にはなったかとは思います。
オーストラリア大陸を舞台にすると決めたのは、ちょっともじった『アウスリア大陸』がとても異世界っぽいと思ったからというのと、誰もが知ってて、かつおそらく百万年後でも残ってるであろうウルルを使おうと決めたからですね。
異世界だと思わせておいて実は未来の地球の話でした、というパターンの話は……私はとりあえず前述の『猿の惑星』くらい(あれは異世界ではなく異星ですが)しか知らないのですが、他にこういうのあるとは思います。
ただ、昨今のライトノベル関係ではかなり珍しい展開だとは思ってますが……違ったらごめんなさい。
あと、完成してから気付いたのですが、設定的には少しだけ『はたらく魔王さま!』にも似てますね。だいぶ毛色は違いますが。
それと、考えてみたら最後のカイの行動は、完全に閃の軌跡4のリィンと同じです(笑) これもホントに気付いていませんでした。
魔法についての説明に用いた『エーテル』はもちろんなんちゃって科学です。実際にそんな物質があるかといえば、多分ないでしょう。
とりあえずあると仮定して、そして人間の意思でその作用に干渉できるなら魔法っぽくなるよね、という無理やりな結果でした。
だから時間と空間は超えられなかったんです。物理的に説明がほぼ出来ないから。
まあ慣性はずすというのもどうやってんだろうという気はしますが、そこは何とか……(笑)
百万年というかなり無茶な時間設定は、人間が種として変化するならこのくらいの時間は空けないと厳しいかと思ったのが理由です。五十万年でも十分でしたが、キリ良く景気よくいきました(笑)
現在のホモ・サピエンスが今の姿になったのはおよそ十万から二十万年前とされており、その後大きくは変化してないということなので、人類が種として変化(進化)するなら、その位あってもいいのかな、とは。
あと、その位経てば星空の配置も変わるし大陸も移動するし、さすがに何もなければ地球だとはわからないだろうという狙いも。
設定上はおよそ五十万年ほど前からエーテルを直接扱える能力が芽生えて、それが人類全体に伝播するまでにおよそ数千年。
その後はいわば新しいエーテル・サピエンスとでもいうべき人類が現在の地球人類の主たる存在となってるという設定です。エルフはいわばこれを先取りして能力を付与された感じですね。
あとはキャラクターについて。
基本はカイとラングディールの二人をメインと考えてました……が。
プロット時点でどうしてもカイの独り舞台になってしまいまして。
それで寂しいから登場させたのがレフィーリアです。
なので、ミもフタもない話をすると、本作のヒロインであるレフィーリア、実はいなくてもこの話はある程度成立します。
そのため、プロローグであれだけやって、その後魔王のルーツを探って、レフィーリアを助けて、プロローグに戻る、という前半の構成なわけですが……。
実はレフィーリアを助ける下りで読者離れないといいなぁ、というのは不安でした。
それもあって、魔王の調査からレフィーリアに出会う流れに、途中で改稿させていただいたんです(二〇二五年一月三日の改稿)
その他にも、カイとラングディールの話が薄かったので、補強するために話を一つ差し込みましたが。
ただ、改稿した影響で、レフィーリアの存在が『魔王が非情な存在ではないのでは?』ということを考えさせられる要素にはなっています。
正直に言えば、本当はヒロインの最大候補は(カイとくっつく話はあり得ないにしても)シャーラだったのですが……移動経路と時系列考えると、彼女の出番作るのはほぼ無理でした。出番が最初と最後にしかなかったのは、他の場面では登場させようようがなかったんです。
ラングディールがおかしくなったのを見てこっそり国を出てカイに助けを求める……という展開もなくはないですが、さすがにそれは色々まずいでしょう(笑)
何より、カイの居場所なんてわかるはずがない(笑)
それもあって、
逆に言えば、レフィーリアが出たことによってほとんどの出番を削られたのがシャーラさん……(ぉ
とはいえ、レフィーリアの存在が無理矢理なのは否めませんが。
エルフの可愛いヒロイン出したかったんだい<開き直り
ちなみにもう一つ暴露すると、実はエンディングをどうするかは書き始めた時点では明確に決めてませんでした。
ラングディールが死ぬパターンもありだったんです。
ただ、やはりカイがラングディールを殺すということはまずないと思って、それよりはなんとしても生かそうとするだろうというところからあのようなラストになりました。
カイにとってはラングディールとシャーラの二人が何よりも大切だったわけです。カイ自身は、どうしても前世の記憶的なものがあるせいで、少し自分を客観視し過ぎてる部分もありますし。
さて。あとは作中では明らかにならなかった設定などもいくつかあるので、設定語りしていきます。
ぶっちゃけ読まなくても問題ありません(ぉぃ
●エルフについて
遺伝子改造によって誕生したエルフですが、作中明らかにならなかった設定がいくつかあります。
まず一つが、エルフは魔王になれるだけの魔力的な資質を確実に持ちますが、魔王にはなれません。
というのは、エルフは負のエーテルに対する耐性があるんです。
これは、鉄に対する
一応勇者はありですが、扱いが扱いなのでエルフの勇者は存在してない設定です。
また、もう一つ設定があって、人間がエーテルを使う能力を獲得したのは進化の結果なのですが、稀に生まれる異常なほど魔力が強い存在(ラングディールやカイ、シャーラ他、歴代の魔王や勇者たち)は、実はエルフの血を引いています。
要するに、エーテル・サピエンスとエルフのハイブリッドなんです。
まあそれでも、ラングディールはある種バグの様な存在ですが(笑)
皮肉な話ですが、魔王が生まれたのはエルフの血が混じって、強力な魔力を持つ人間が誕生したことが原因でもあります。
なお、エルフからエルフが生まれる確率は大体十パーセントくらいとされてますが、人間からもごく稀にエルフが生まれることがあります(ただし一万人に一人とかのレベル)
当然ですが、
●地名について
本作の舞台はすべてオーストラリア大陸なわけですが、街の名前の元ネタはそれぞれ以下の通りです。
シドニス⇒シドニー
ニスル⇒ニューカッスル
ケーズ⇒ケアンズ
タウビル⇒タウンズビル
マケイ⇒マッカイ
ブリスタ⇒ブリスベン
メルビル⇒メルボルン
タスニア島⇒タスマニア島
カラベル⇒キャンベラ
パルス⇒パース
ウーリュ⇒ウルル
一人、早々に看破された方がいて驚きました……オーストラリアに行ったことがあれば「あれ?」とは思うかもとは考えてましたが、とはいえお見事でした(笑)
国の名前は適当……ですが、セント・ルシア王国だけは実は実在する地名そのままです。
あとはアデレードもそのまま。これが最大のヒントだったかとは思いますが……ガンダム好きだとアデレードは知ってる人もいるでしょうが、そうでないとあまり知ってる人いないよね(笑)
ちなみに東海岸はほぼほぼ現在の地図がそのままという感じで移動させてました。
なので、本作の旅の経路をたどるととんでもない距離です。
作中にある通り、歩行距離は合計一万キロ以上(笑)
実際調べてて思いましたが、本当にオーストラリアって広いんですよね。
正直車なしで行く距離じゃないよなぁ、とか思いながら書いてました(笑)
だから最後は超ショートカットしたわけですが。
この手の話だとベースになるのはヨーロッパや日本の距離感でしょうねぇ。
なのですが、オーストラリアは本当にめちゃくちゃに広くて、その分街と街の間も遠い。結果、あんな少し移動の多いゆったりした話になったとも。
●魔力について
作中ではちゃんと説明しなかったのですが、魔力には厳密には
どちらもエーテルですが。
この辺りの名称は『聖良の魔女工房運営記』と同じですが、設定的には異なります。
基本的には、魔法は
ちなみに魔王が誕生する直前くらいの負のエーテルが溢れている状態では、使える
なのですが、
そのため、不足している
で、ラングディールはこの
あとはそもそも一度に干渉できるエーテルの規模が大きいので、大規模な魔法を使うことができるわけです。
カイが
ぶっちゃけ、現環境下においては、単純な魔法戦を行うと、ラングディールよりカイの方が強いです(魔力量は段違いですが)
もちろん魔王化してるラングディールは論外ですが。
ちなみに魔王は、取り込んでいる負のエーテルを全て
●他の大陸の状況
一応漠然とは決めてあります。
ユーラシア大陸は現在のロシア部分の大半は海の底です。
中国南部から東南アジアもほとんど沈んでいて、あのあたりは諸島部になってます。人口はかなり減っていて、インド辺りが一番多いです。
なお、ヒマラヤ山脈はさらに大変なことになっています。
ヨーロッパはオランダ以西は完全に海の底。イベリア半島は島になってます。
また、北アメリカ大陸は、ハドソン湾が五倍位にでかくなってると思って下さい。
かなり派手に抉れてます。
南アメリカ大陸はアマゾン流域はほぼ完全に水没。ただ、それ以外は結構そのままです。標高千メートル以上は残ってる感じですね。オーストラリアと並んで土地が残っていて、人口が多い場所です(つまりここも魔王が出現しやすい)
アフリカは南北に分断。南側は半分くらいはまだ陸がありますが、北はサハラ砂漠の領域は海の底です。
ちなみに日本は本州の一部がかろうじて、という感じでしょうか。
それと南極大陸は実はほとんどそのまま残ってます。
というか氷の大地の場所は大幅に増えているので、唯一現在より実質の広さは増えてます。
また、北極もほぼほぼ氷に閉ざされています。
各大陸が沈んだのは海水面の上昇も原因ですが、極地の氷が融けたわけではなく、地球全体の水分量それ自体が大幅に増加したことに加えて、大陸の一部が沈下したことも理由となっています。
●カイの目論見
カイの最終決戦時の狙いは明確には一つ。
ラングディールに宿る負のエーテルを自分が引き受けて、彼を魔王から解放することでした。
そのうえで、あの状況を何とかするには自分が黒幕の魔王だったと振る舞えばあとは何とかなりそうだと考えていて、
戦後都合のいい事実が出たりしたのは、ぶっちゃけほとんど裏工作の結果です。
ちょっとした意識操作程度はやっています。
そして本人の今後については一応いくつか考えていたようです。
確定してたのは、ラングディールに討たれた振りをして低軌道まで吹っ飛ぶこと。
これによりラングディールに再度負のエーテルが宿ることはないようにする。
あとは負のエーテルを自分が宿し続けて、かつ地上に魔王が生まれないようにすること。
ここまでは確定していました。
ただ、そのやり方についてはいくつか考えてはいたようです。
〇条件1:エーテル浄化に魔王化が必須 or エーテルの侵蝕遅延ができない場合
この場合、カイは魔王になるしかなくなり、魔王になれば低軌道どころか地球が視認可能な距離であれば地球への帰還が可能です。
つまり本当に地上に魔王カイ・バルテスが誕生してしまうので、この場合は作中にある通り太陽公転の慣性を魔王になるまでの間外そうと考えてました。
太陽公転は地球公転よりさらに強烈な速度で実際には動いてますから、半年もはずせば帰還は不可能になるほど離れます。概算で三百五十億キロほど。
まあ恐ろしいことに、実はこれでもなお太陽重力圏内なんですがね、一応。太陽系最外縁部にあるとされるオールトの雲は地球から一兆五千億キロほどまであるとされるので……三百五十億キロあたりだと、準惑星として有名な『エリス』を肉眼で見れるかも?(マテ)
この辺りは雑記の『太陽系の大きさを実感しよう』で大きさの規模が分かります。
まあそれだけ離れればさすがに帰還は不可能でしょうし、それだけ離れればエーテル災害が起きても地球には影響はないと考えてました。
地球から(少なくともアウスリア大陸から)エーテルは激減しますが、これも作中ある通り必ずしも悪い話だけではなく、魔王が誕生しにくくなるというメリットもあります。
カイ的にはこれが最悪最後の手段でした。
〇条件2:エーテル侵蝕を止めた状態で地球への帰還が可能か
作中結局これは出来なかったわけですが、当然カイも地球へ戻ることは考えてはいました。無論自分の肉体の時間を極限まで遅くしてるわけなので、普通の生活は不可能ですが、極論その状態でコールドスリープする等の対応を
ですが、エーテルの侵蝕が不完全な状態では他人にエーテルが移動する可能性があった時点で、この可能性は消えました。最悪、ラングディールが近く(五百キロ以内)に来たら彼が再び魔王になりますので。
そんなわけで作中のように低軌道で浮き続けるという選択を取るしかなくなったわけです。
まあ、この辺りの条件を整えるのには色々考えたのはあります。
停滞してれば地球帰ってもいいんじゃね、とは思いましたからね。
他に語ってない設定あったかな……。
気になったことがありましたら、コメントいただければ開示します。
ともあれ、最後までお読みいただきありがとうございました。
気に入っていただけたら、お星さまとかいただけたり、あるいは他の方にもすすめていただけると、とても嬉しいです。
んで。
第40話の『エピローグ』が予定していた最後の話なのは確かなのです……が。
実は勢い余ってもう一話書いていたりします。
ゲームで言えば、ノーマルエンドに対するトゥルーエンド的なもの。
ハッピーエンドが好きだからというだけですがね……。
これを公開するかどうかはちょっと迷ってます。
現状でも多分いい終わり方をしてるとは思ってるので。
なので、ちょっと考えさせてください。
公開するとしてもカクヨムコンテスト10が終わる直前くらいのつもりです。
要望が多かったら前倒しも考えます(ぉ
親友の勇者が魔王になってしまった件 和泉将樹@猫部 @masaki-i
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