スケルツォと本心

『スケルツォ』は冗談という意味。不器用な作曲家が冗談のなかに紛れ込ませて放った本心とは？

『仮面S』と名乗り動画サイトで曲を配信して活動している染森創史。
創史の知り合いである女子大学生、穂真里は創史が暴行で逮捕された後、彼についてのインタビューを受ける。
そのインタビューのなかで、二人の関係性と創史の人柄が語られていくのだった。

繊細に人間の心情を描く描写が卓越した一作。
直接的な「好きだ」という表現に頼らず、創史と穂真里の心を描いているのが非常に上手い。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（443文字）

相手がどう思っているのか、自分がどう思われたいのか、あえてはっきりさせてないのにもどかしさはなく、ただただ切なさが胸に迫ります。
何かが溢れて、手の中に残った澱のような悲しみが溢れました。