その6「私たちね、君のことがなまら好きなんだよ。」
「窓の外……すっかり夜になっちゃったわよね」
「雪も降ってる……
「んふふ。あの時もこうやって君に抱き着いていじめてあげたらなまら嬉しそうにしていたっけ?」
嬉しそうに笑う
胸に手をぴたりと置いて、そのまま片耳に呟く。
「心臓……まだバクバクしてるけど、大丈夫?」
「んふっ、ごめんごめん。
「あれれ、なしたのぉ? 何も言えないってことはきっと、そういうことだよね?」
「でも、安心してよ。
「途中半端に否定する割には……なんにも返せない、みったくない君のめんこい耳をいじめたげるっ」
そのまま片耳に息を吹きかける。
「ふぅ~~~~」
「あ、そうだ。さすがに私ばっかり君の体いじめてかわいそうだし……何かさせてあげよっか? さわりたいしょね?」
首を振ると笑われて答える。
「首を振っても……いいの? ほら、したっけぇ、君が聞きたいなら~~
「ほらほら~~、しっかりいいなさいよ。いいの、聞きたいしょ?」
「……っふふ。よくできました。したっけ、ほら。起き上がって?」
身を起こし、目の前で座って胸元を強調させながら手を広げる。
「こないの? いいわよ?」
目をじろじろ見て、そう尋ねながら強引に体を引っ張った。
「ほぅらっ」
そして、そのまま右耳を自らの胸の間に押し付けるように抱きしめられる。
とくんとくん、とくんとくん。
少し早くなっている心音が耳に直接聞こえてくる。
「っ……あれ、バレちゃったかしら。ふふふ……さすがに恥ずかしいわね。
「でも、いいでしょ? 落ち着かない?」
とくんとくん。
ひしひしと降り積もる雪の音をかき消すように耳を包み込む
「……あぁ、せっかくいじめるつもりがどうして落ち着かしてるんだろぉ」
「心の中にいる
「ん。どうしたの?」
するりとおしつける手から逃げて、肩を掴む僕。
「—―な、なしたの? 急にそんな、真面目な顔になって……」
「え、伝いたいことあるの?」
「……そんなかしこまらないでよ、余計に恥ずかしくなるじゃないの」
(いいから聞いてくれよ)
「聞けって、え。ちょっと……強引で、怖いよ」
少し止まって。生唾を飲み込む音が聞こえる。
「っ――わ、私のことが好き?」
「え? い、いきなり何を……」
動揺する
何かが弾けるような音がしてシューっと煙が現れる。
★★
すると、次に目を開けると僕の横に二人になっている紗那が座っていた。
「え」
「あれ?」
右耳に
「「わ、別れてる⁉」」
両耳から違う声音を持った二人の声が聞こえてくる。
「もしかして、好きって言ってくれたから……かしら?」
「え、す、好き……君って
頷く。
すると、少しだけ間が開いたのちに二人が息を合わせたかのように呟く。
「「へぇ……そ、っかぁ」」
呟くと、そのまま耳に近づき交互に囁く。
「それならね」(サナ)
「「
「なまら」(さな)
「……すき、だよ?」(さな)
「……すき、よ?」(サナ)
「大丈夫、安心して……今日はいっぱい
そう言いながら
「んふふっ。それじゃあこっち側の耳は
それに対して左耳を指でなぞりながら呟く
「あぁ、もう。今日は疲れたこの人を癒してあげるんだよ、好きな人に意地悪だなんてだめだよぉ」
「甘いわねぇ。好きだからこそ、いっぱいいじめてあげるのよ?
「そんなことないもんね、君は
ぐっとちかづいてくる二人。
「「ねぇ、どっち?」」
「もちろん、
「ちがうでしょぉ。
じっと近づいてきて、耳元まで来ると二人して体をベッドへ押し倒す。
「んふふ」
「えへへ」
「「わかってる」」
「「—―どっちもなんだよね、ありがと」」
「「一緒にたくさん癒して(さな)/いじめて(サナ)あげるね」」
傍点が付いた部分は交互に耳元でささやく。
右耳では
「ふぅ……しゅわしゅわぁ、さわさわぁ……どう、気持ちいかな? 癒されるよね?」
左耳では
「っふぅ……ぎゅーぱーぎゅーぱー。んふふっ、体びくびくしちゃってるよ? もちょこい?」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ」
「にぎにぎにぎ」
「ふぅ、ふぅ……ふぅ」
「しゅわしゅわ、さわさわ」
両耳を交互にいじりこまれる。
数回ほど続けられた後、今後は二人で耳を囲むように胸をくっつける。
「「したっけ、それじゃあ」」
「
「
「二人の心音を聞いて、気持ちよくねちゃおっか」
とくんとくん。
とくん、とくん。
両耳でリズムの違う音が聞こえてくる。
だんだんと眠くなり、声が遠くなっていく。
「なまらめんこい、君が好き」
「
「……ゆっくり、ゆっくりでいいからね」
「
「今だけはゆっくり……寝てね?」
トントンと胸を優しくたたく音が聞こえて、目をつむる。
~FIN~
なんまらめんこい二重人格な幼馴染が朝と夜に分かれて俺を取り合いっこしてくる。〜わたしとあたしのどっちがいい?〜【こえけん応募作】
<あとがき>
読んでいただきありがとうございました。
この作品は「第2回こえけん音声化コンテスト」に応募しているので、ぜひぜひ応援、コメント、☆評価よろしくお願いします!
なんまらめんこい二重人格な幼馴染が朝と夜に分かれて俺を取り合いっこしてくる。〜わたしとあたしのどっちがいい?〜 藍坂イツキ @fanao44131406
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