桃狩りのうた

西しまこ

すずなりの桃の実見れば香りたり

富士山に白雪なくて 黒山に白雲たなびき夏山を知る


曇天の低き御空みそらに鎮座する平き頭の夏の富士山ふじやま


三連休忘れていたよ めちゃ混みの高速道路うっかり寝るわれ



雨宿り桃の木の下傘閉じる 見上げて嬉しやまるまるの実よ


大きくて熟した桃を探しましょう これかあれかと指さし迷いて


そうっとね掴んで下に引くんだよ 傷つけぬよう宝のごとく



クワガタを探す幼児おさなご網持ちて目を輝かせ桃の木眺む


虫籠に黒き虫居て笑顔かな 誇らしそうに高く掲げて


「よかったね。たくさん捕れたね」「虫のため木の枝入れよう」愛しき会話



幻のが息子たち目に浮かび 幼き頃に来まほしきかな



すずなりの桃の実見れば香りたり 甘い果実と幸せな夢


細長い緑葉みどりはの下たわわなる色づきたりし柔らかき果実



するすると皮剥きたりてかぶりつく 甘き果汁をぽたぽた垂らし


「おいしいよ!食べて欲しいな」切り取りて一切れあなたに差し出したれば


お隣は違う県から来た人よ しばし歓談楽しさ分け合い


桃食す 葡萄の屋根が小雨受け緑蔭の中甘く美味しく


「あれいくつ食べたのだろう?」「わからない」

「五個から十個だ」「たくさん食べたね」



野菜をね色々買ったよ 生のまま食べれるオクラ納豆に入れたし


お土産に唐揚げ買おう 家にいる息子ら思いレジに並びて


桃のを乗せて走るよ 満ち足りた思い抱えて我が家思いて

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