青い夏、咲かない花と火薬の匂い

ミステリーである。
素晴らしくも美しい余韻。
実によくできている。

兄の指先の色の描写を見たとき、モヤッとした。
兄は花火師の手伝いをしていただけであって、花火師ではなさそう。
手伝いをしただけで色がつくほど手が汚れるものなのかが疑問だった。

澄華を祭りに連れて行ったのは、お酒を飲んで気持ちをおおらかにしてもらい、見晴らしのいい場所へ行くことで、心理的圧迫を取り払って話しやすい状況にするためだったのだと考える。

花火は一発だけだったのかしらん。
「最後の花片が暗闇に解けるまで、僕らは陶然とその景色に酔い痴れていた」とあるので、数発の花火が、不意打ちで打ち上げられたと考える。

この偶然を、兄の意志と受け取るのも必然かもしれない。
まさに、言わぬが花、である。

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