謎解きと人間ドラマの見事な融合

緻密なプロット、いくつも仕込まれたミスリード、多方面の専門知識に加え、複数の視点や時系列の複雑さが物語に厚みを与え、非常に読み応えのあるミステリでした。

また、数多くの登場人物全員に血が通っており、人間ドラマの部分ももう一つの大きな柱となっています。

しかも22万字超という長編にもかかわらず、無駄な場面やエピソードが一切なく、最後は全てのパーツが見事に組み合わされ、奥行きのある大きな絵が完成するという見事な構成。

秋の夜長にじっくりと腰を据えて読んでいただきたい良作です。