第5話 やるべきこと

「奏多、両面テープある?」

「すまん、部室や。取ってくる」

「ありがとう」

 後一週間で学祭があるというのに展示の準備をしていなかった。

「すまん、遅れた」

僕は用事があったため遅れて作業している教室に入った。

「遅いよ、ひろ。早く手伝ってくれ」

「いや、あれだけ時間があって何も準備してなかったお前たちが悪い」

「来年はもっと早くやるよ」

春樹のその言葉にあまり信用を持てないがとりあえず今は作業を手伝うことにした。

 僕らが所属しているアウトドアサークルでは、毎年教室にテントや道具の展示、活動の様子の写真、キャンプの日程などを模造紙に書いて、パーテンションに貼り、サークルの活動を紹介している。その他にもスライドショーや冊子を作っている。

 僕と春樹は、スライドショーと冊子の担当で直人と奏多が展示の担当と2ヶ月前くらいの話し合いで決定した。僕と春樹はさっさと作業を終わらせたが直人と奏多は、「なんとかなるやろ」とか言い訳を言って結果として今に至る。

「直人、後どれくらいあるん?」

「後、キャンプの日程書くのと写真貼るのと自己紹介のやつを模造紙貼るだけ。写真は今、春樹が印刷しに行ってる。奏多は部室に両面テープ取りに行った」

「お前ら、ほぼ終わってないやん。書くこととか決まっとるんやろ?」

「決まってはいるよ」

「さっさと終わらせるぞ」

「助かります」

結局作業は1時間30分くらいかかった。時計をみると時刻は19時を指していた。僕らは作業の片付けをし、教室を出た。

 部室に戻り、作ったものなどを一箇所にまとめて使った道具を片付け帰る準備をした。

「夜なんか食う?」

「ラーメンでいいんじゃね」

「さんせー」

「直人と奏多の奢りで」

そんなことを言いながら部室を出て、大学の近くのラーメン屋に向かって歩き出した。


 なんやかんやあり無事学祭も終わった。あれだけ時間かけて作ったものが2日くらいの学祭で見れなくなるのは、どこか虚しいものだと感じた。


 学祭も終わり、少し平穏な日々を過ごし、冬休みに入ろうとしてた。月日が流れるのは本当に早い。この前まで秋だと思ってたがもう冬である。冬休み中には成人式が控えている。

 僕は、姉の関係で妹と成人式の実行委員をしている。なぜやっているかと言うと、成人式の実行委員は基本的に中学生時に生徒会とかをやっていた人が各中学校から数名声がかかるが、僕の中学校の名簿が無いらしく姉の代の時に手伝っていた僕と妹に声がかかったのだ。後、人数が足りないと言われたので僕の数少ない信頼できる友達に声をかけて、その中でも2人やってくれることになった。

 会議がちょくちょくあったが、特に準備に関する仕事を任せられているわけではないし、奈良にいるため、みんながどんな人なのかいまいちわからないため、会議ではなるべく喋らないようにしている。後、一人だけオンラインでの参加のため少しだけ気まずかった。


 年内最後のバイトを終え地元に帰る準備をした。地元に帰ったら直で友達とご飯に行く約束しているため楽しみだった。

 バイトのない日に少しずつ掃除した部屋に年末の挨拶を心の中でして部屋を出た。電車に乗り映画を観ながら地元へと向かった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少し止まる 黒脚海豚 @pengin48

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ