異世界短歌

歩弥丸

ええっ!? ただの歌人が異世界転移!?

目に映る全てが新しい空気 見知らぬ小鳥 あしたの世界


空に星 大地に土があるように この世界には神がるとか


僕を知る者は誰もない世界 僕は誰かを知るのだろうか


ドラゴンのうろこよこれはと君はいう ただのお皿に見えるのだけど


異世界に来たとて異能チートのあるでなし スライム一つ倒せない僕


一宿の恩をも返さないうちに 君の癒やしに救われる身は


これくらい振れねば生きていけぬぞと 手にしたけんの重さに負ける


かぐわしい花の名を君に尋ねれば 毒の花だぞすぐ焼けという


その昔神と魔王の戦いで 刻んだ傷がこの谷だとか


迷宮は山の向こうと言われても もう動かない 休ませてくれ


えおあおえらおさえとろむめれあうあ 魔法の声は異郷の歌か


君の手に魔法のあかり 迷宮を手探りで行く 震える足で


その声は何と怪物たち騒ぐ 僕は歌っただけなのだけど


神代かみよには言霊ことだまありきと先師うし云へり 僕の歌にもたま宿るらむ


死してなお動くむくろがあるという 彼方かなたの僕の骸はどうか


オークにも心はありや 洞窟の奥に埋もれた骨といしぶみ


宝箱開いてみれば 日本語の 書き付けられた古びた冊子


僕よりも先に来たれる転移者よそものは 今は何処いずこの土に眠るか


お前には何ができると王の問う 見て歌うことが全てと


来た道があるなら帰り道もある 僕の歌った後にはきっと

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異世界短歌 歩弥丸 @hmmr03

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