あとがき

『ヤオヨロズ・シティポップ』を最後までお楽しみ頂き、誠にありがとうございました。いや、もしかすると全然楽しめずに虚無の時間を過ごされた方もいらっしゃるかもしれませんが、それはもう「すまんなガハハ」としか言えないです。すまんなガハハ。


今作『ヤオヨロズ・シティポップ』は、新田が書きあげた二作目の長編となります。公募の最高戦績としては、集英社ノベル大賞2022の最終選考落選(候補作外)です。まあ、今読み返すと妥当というか、面白いけど受賞はできねえよなって印象です。とはいえPCで眠らせておくのは勿体ないので、web用に改行を挟み、カクヨムで公開してみました。


さらに、ノベル大賞からいただいた講評を嚙み砕いて紹介したいと思います。全文転載すると十中八九怒られるので、あくまでも新田の意訳です。


【キャラクターが渋滞している。要素過多。千晃とデリ子の関係性がぼやけてしまっている。】

これはもう、ほんとその通りなんですよね。というのも、前作の処女長編『さよなら私のドッペルゲンガー(アルファポリス文庫)』の主要人物が3人(厳密にいえば4人ですが)だったので「じゃあ今作は倍以上のキャラクターを出して動かしてみよう」と自身に課題を課していたからです。


その結果、初稿は175000字に膨れ上がりました。しかし、ノベル大賞へ応募するには50000字近いダイエットをする必要があります。最悪ですね。ただでさえ濃かったカルピスを、より原液に近づけて提供するしかなかったのです。その結果、どこを見渡してもハイカロリーなキャラクターが動き回る作品になってしまいました。


【取ってつけたようなシティポップ要素は何?】

これももう、その通りなんですよ。元はといえば伊坂幸太郎さんの『死神の精度』のように、ただ音楽が好きなだけに留めるつもりでした。けれど、山下達郎を出囃子にしてデリ子が出てくるシーンが好きすぎて、悪ふざけに走ってしまったのです。あと、シティポップって入れておけばなんかお洒落でエモくなるやろと思ってました。浅すぎる。


他にも細部を指摘されていましたが、目立った減点はこの2つでした。


反対に褒められた点はシリアスとコメディを書き分ける文章力だったり、表現力だったり、読者の心を動かす展開だったりですね。あと、ノベル大賞はどちらかといえば女性向けの作品が多いレーベルで、この作品は完全に男性向けなのですが『女性が読んでも楽しめるバランス』と評していただけたのは大きかったです。


この原稿を読んで「勉強になったなぁ」とか「この程度で最終選考に残れるのかよ」とか、様々な感想を抱いたかと思います。僕としてはどちらでも構いません。技術面にしろモチベーション面にしろ、日の目を見られない原稿が何かしらのプラスを生みだせたのなら幸いです。


また時間があるときに別の原稿もカクヨムへ転載する予定なので、今後とも新田をよろしくお願い致します。



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ヤオヨロズ・シティポップ 新田漣@ファンタジア文庫より書籍発売中 @nittaren33

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