誰かのせいにしたら簡単だったんだ、でもそれじゃずっと明日はやってこない

平易な文章で、ありふれたことから書きはじまっている。
インパクトがある書き始めは、物語を先へと読み進めさせてくれる。

「おまえはダメだから」「おまえはバカだから」
と呪詛をささやきながら、自分好みに染め上げていくところが現実味を感じる。
中学時代にバカにしてきた男がモデルの三船。
読者にとっては、親や友達、教師がモデルの場合もいるだろう。

作品内のどんでん返しが、作品全体の返しにもなっている。
エッセイや体験談と思わせてから、小説だった返しが面白い。