続くらいきもちのうた

西しまこ

プールの底に沈んでいる様な

ねえ何をどう言えばいいの 届かない君の胸には一滴ひとしずくさえ

伸ばした手何度も払われ諦念す ての意味さえも曖昧になり

此の穴は何処まで続く?塞いでも塞いでもすぐ突き刺さる刃


暗闇に螢探した 半袖の白さに何故か不安を覚え

手を握り強く握りて恋い願う叶わぬ望みを 獅子座流星群

あの春にもしもメールをしなければ 幻の未来目蓋の奥に

手を払い振り返らずに行く背から微かに煙草の匂いがしたんだ


眼の奥に力を込めて瞬きす 泣くなと息止め鎧戸下ろす

吸い込まれゆくよこのまま夜の中 ハンドル握り涙も拭かずに

泣くときはシャワーと共に静謐に気づかれぬよう沈みて泣くも


神様の使いのような黄金きん羊わたしのもとにはきっと来ない

こわくなる窓打ちつける小夜時雨 布団に潜り目を固く閉じ


声殺し涙も殺しわらうのよ 小さな世界が壊れぬように

平らかに在りたいとこい願いても嵐は来るよ無情なまでに


滲む血を凝視し震えるDNAのこわき呪縛に破壊の衝動

ママ達の囀る声が異国語でプールの底に沈んでいる

笑顔にね嘘嘘嘘の棘ありて膝を抱えて籠り泣くなり

物凄く怖いと思う 届かない大切な言葉くうに消えゆき

大切に生きて来たしるし踏みつけて涼しげなるを ただ悲しむだけ



ねえずっとずっと刺されているんだよもう刺す場所ない死んでしまった


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