想像してごらん。スタジアム建設現場を埋め尽くすあの猫たちの勇姿を!

私見ですが、異世界モノの神髄とは借景にある、と思っています。「ああ、アレね」といかに思うか思わされるか、ということですね。この作品もまた、最近では厚労省のパブにも使われたあの猫たちが、ヘロヘロになりながらワラワラと働くその姿が、そうとは明言されていないのに読者の脳裏に浮かぶのです。

さらに。そのような借景をネタとする方式には「それだけでも面白いけど、よく知っていればなお面白い」という効果もあるのです。この作品では建築現場ネタがそのひとつですね。セコカンを持ってる私(さりげないマウント)としては、もう涙が出るほどゲラゲラ笑えたのでした。その涙は笑いだけの涙ではないけどね……

いま塩飴なめて頑張ってるかたと、あの猫たちに魅かれるかたにお勧め。
32読/32完にてレビュー。