イキり主人公が大嫌いなかたにお勧め
- ★★★ Excellent!!!
「女の腐ったような男」という老害だけが言う不適切な死語をご存じですか。
ここで言う「老害」とは概念であり、若くても言っちゃうかたはおられます。還暦過ぎの私は誓って生涯一度も言ったことはありません。
そしてこのワードの意味は、「イジイジウジウジと言い訳や泣き言ばかりで仕事のできない男」という意味です。
なお、この意味を正確に述べると
「俺の役に立つ仕事だけできない(しない)くせに、俺にとって都合の悪い正論を小さな声で言いやがる、俺よりちんちんが小さくてケンカが弱そうに見える男」
という意味になります。いやあ、卑怯ですね!醜いですね!老害ですね! 男の全員が持ってはいないけど、卑劣な男の本性がムキダシのワードですね!死ね老害!
この物語の主人公は、地球での人生で「女の腐ったような男」と言われたことのありそうな豆腐メンタルのキャラです。彼はただ誠実に生きようとした弱者男性に過ぎないんですが、地球の強者男性と強者女性はそういう存在を許しません。
で、そういう「女の腐ったような男」が、豆「腐」メンタルのままで、強者女性よりはるかに若く美しく(ちんちんはもちろんついてない)、強者男性よりはるかに強くなる(なってしまう)というストーリィは、実にアイロニックで面白いのです。しかも文字通り「腐ったパワー」まで持ってるし。作者は天才かよ。
個人的には「女しぐさ」の発現についてちゃんと触れているのがポイント高いです。いやー、凡百のTSモノはルックスばかり強調してさあ、しぐさについて重要視していないのが辛い。もちろん私個人の性自認は生物学的性と戸籍性と同じく男性(ホントです)であり、女装の経験も志向もない(ホントですう)けどさ、作家的な観察力と想像力があれば「しぐさ」が大事って猿でも判るっしょ?
異世界モノは大好きだけどイキり主人公は大嫌いなかたと、現実の美女でも中身がおっさんな人はいるっしょ、と思えるかたにお勧め。
176読/176続にてレビュー。