第5話 人生は続く
こうして一年間雀に嫁入りしたオレだったが、これで終わりってわけじゃぁなかったんだな。翌年のことだ。
「嫁に来てくれませんか?」
今度は複数の雀から結婚の申し込みを受けたんだ。雀の婚姻ってのは一年契約の更新タイプなのか? そういや、オレが育てた子どもたちは遠くどこかに旅立ったが、オレの子育てを見てた親たちはこの辺りに定住してるんだったな。
あははは、オレ様史上一番のモテ期だわ。オレは快く引き受けたさ。「側室」ってより人間の「乳母」ってイメージでな。
それから毎年雀の一番子が巣立つ頃、オレは子雀にまみれる生活が始まった。最近では子どもたちの見分けまでつくようになっちまった。朝なんてさ、隣の鶏の声じゃくて、雀たちが親(オレのことな)を呼ぶ声で目覚めるんだぜ。
「雀オジサン」として地元のテレビ局の取材を受けたのはそれから三年後のことだった。
あ、そうだ。そうだ。
あのさ、あんたんち辺りでさ。やたら人間のアトを追いかける雀がいたら、それたぶんオレの養っ子なんだ。ひとつよろしく頼むな。
~ おしまい ~
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あとがき
田舎に移住して馴れない生活でちょっと疲れていたとき、とある自主企画でご縁をいただいたカクヨムさから、鳥を見ることを教えてもらいました。
なるほどと、庭に畑にやってくる鳥が何か調べているとだんだん楽しくなってきました。以前住んでいた町では慌ただしくゆっくり鳥を眺めていたことはありませんでした。田舎ライフの楽しみをひとつ教えてもらった気がします。
拙いお話しではありますが、これはその方への感謝の気持ちとして書きました。
ありがとうございました。
宮草はつか様
嫁入りから始まるセカンドら・い・ふ 小烏 つむぎ @9875hh564
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