ジェネリック借金玉note
えりぞ
ジェネリック借金note
何もないノーススラム(僕やほわせぷは自嘲を込めて故郷をこう呼ぶ)を離れて、何度めの夏だろう。ここにはまだ蝉の声は聞こえてこない。
それなのに東京は今日もムシムシと暑くて、傷んだ体を外に出す気にはなれなかった。いくどかの挫折のあと、文章で生きていくと決めて、なんとか本を2冊、それも両方ベストセラーとして世に出せた。けれどもそこまで。そこまでなんだ。
いまは予想していなかったトラブル…というのも不愉快なのだけれど、悪意に足を取られ対応せざるを得ない状況になっている。
「ここからだよ」「今が大事な時期だから」「ほっとけよ」そう言ってくれる人は少なくともいてくれて、気ばかりが焦ってしまう。でも、ひとつひとつ片付けていかないと、前へ進めないような気がして、一歩一歩、昨日も弁護士事務所と警察を往復している。
人生にこの時期が必要だったのか、そうじゃなかったのか、いつかわかる。
わかってくれる人がいる。そう信じてやるしかない。
今月は、
来月は、
いい文章を、
書きます。
嘘みたいだけど、そう自分に言い聞かせてやっていくしかない。いい文章を、書きます。
申し訳、ない。
ジェネリック借金玉note えりぞ @erizomu
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