パパ下りた! はしゃぐ息子に 母キョトン

パパ下りた! はしゃぐ息子に 母キョトン


 ウィール(車輪)が坂の角にかかる瞬間、ああ、清水の舞台から飛び降りるのはこんな感覚か……と思う。

 大袈裟かもしれないが、死ぬかもしれないくら位の覚悟はある。これまでのことが走馬灯のようによみがえる……間もなく、あっさりと坂を下りきった。

 ツルツルに見えた路面も、実際に滑ると木やザラザラコンクリートとさして感覚は変わらなかった。


 克服! 魔物は倒した。

 それから取り憑かれるように何度も坂を下りた。スケボー始めて一年、ようやく感じられた風切る感覚。気持ちいい。


 見ていた息子が母親のところに行き、声高に言う。

「パパ、坂道下りれたよ!」

 我が事のように嬉々と語る息子に、何事かと首をかしげる妻。そうしていると、兄の影響で最近またスケボーをやり出した次男が、坂道の上に立ち、そのままスーッと下りて行きました。

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モールグラブ575 緋糸 椎 @wrbs

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