#4 トリカブト

 有毒植物といえば、多くの日とが思い浮かべることでしょう──トリカブト!


 一般的に認知されている有毒植物ですから、当然、厚生労働省の自然毒プロファイルに収録されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082112.html


 北東アジア・シベリア文化圏では、古来、矢毒としてトリカブトを使っていたそうです。

 有毒アルカロイドは長時間加熱すると毒性が1/200となるそうで、狩猟にも使われ、射止めた動物肉は加熱して食べたことで、中毒を起こさなかったようですね。


 しかし、本来は少量で呼吸器不全を起こすほどの、猛毒です。むやみやたらに加熱をして摂取をしてみよう、等と考えない方が身のためでしょう。


 過去にはこの毒を使って保険金殺人事件が起きたこともあります。トリカブト(アコニチン)とフグ毒(テトロドトキシン)を合わせて、カプセルに入れて飲ませた事件や、あんパンに仕込んで食べさせた事件などがありますね。

 庭で栽培していたという報道を、ずいぶん昔に見たことをうっすらと覚えています。


 そう、トリカブトは鉢植えや庭での栽培が可能なんですよ。


 だけど、トリカブトって野草でしょ? そう簡単に手にはいるものじゃないから、心配ないよね。と思ったあなた!

 それ、誤認ですよ。


 トリカブトは花屋や園芸店でも購入可能です。


 さすがに、うちには植えてませんが、近所の花屋さんにもポットに入って軒先で売られてました。

 ポットに刺さった札に、しっかりと手書きで「トリカブト」と書かれていて、二度見した記憶があります。


 店頭にあるということは、需要があるんでしょうが、どんな方が買われていくのでしょうか。気になりますね。


 ちなみに園芸用で販売されているものも、毒性はあるそうなので、栽培には注意が必要です。

 何せ、トリカブトの毒は、経皮吸収や経粘膜吸収されますからね。口に含むのは当然危険ですし、素手で触ったり、誤ってその指で目を擦ったりしたら、中毒に至る可能性があるわけです。


 ちなみに、ニリンソウやゲンノショウコなどの食べられる野草と、葉の外見が似ています。その為、誤食による中毒事故も起きやすいです。

 食べられる野草を取りに行く際は、お気をつけくださいね。


 そんな「トリカブト」は、海外でもHelmet flowerカブトの花とかMonkshood修道士のずきんと呼ばれるようです。

 日本でも、神楽の衣装である鳥兜に似ていることから名付けられたと言われてます。(鶏のトサカ説もあります)


 「トリカブト」

・7月19日、7月25日の誕生花

・花言葉「騎士道」「栄光」「人嫌い」「厭世家」「復讐」


 その花が兜に見えることから、騎士の繁栄をイメージしたり、その栄えあるものがついたようです。

 さらに、修道士のフードにもみえたことから、世間から離れた修道師のイメージを持たせた言葉がついたようですね。また、その毒から怖い花言葉まで生まれたと考えられます。


 このトリカブト、ギリシャ神話にも出てくるんですよ。魔術の女神ヘカテの象徴だったと思います。

 昔から、その毒性に人々は畏れを感じたのでしょうか。


 トリカブトは、ミステリー作品だけでなく、様々な作品にインスピレーションを与えてくれそうですね。

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花言葉を愉しむ【毒草編】 日埜和なこ @hinowasanchi

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