#3 毒と勘違い? 刺激の強い花にも、ご注意を!

 庭を掃除していたら手が荒れた。皮膚炎になった。そんな経験がある方も、いらっしゃると思います。

 茎や葉から出た汁に触れて、皮膚に異常が出るのは、毒草に触れたからとは限りません。


 アレルギー反応を起こしたり、刺激物質が含まれていたことで軽い皮膚炎になる植物もあります。こういった植物に、毒があると誤認されるケースもあるんですよね。

 今日は、そんな誤認されている植物の話をしたいと思います。


 夏の庭を彩る「ノウゼンカズラ」は、古くから庭に植えてはいけないと、云われてきた植物です。

 

 その訳は二つ。


 一つは、繁殖力の凄さです。

 赤や黄、橙色の花が咲き乱れる蔦状の植物で、花姿はハイビスカスのような華やかさがあります。燦々さんさんとした太陽が似合い、どこか南国を感じさせてくれます。


 イメージ通り、ノウゼンカズラは暑さに強い植物です。

 蔓は放っておけばどこまでも伸び、庭木に絡まりベランダまで達し、家の壁をつたって屋根まで覆ってしまうこともあります。

 うちの近所にも、ノウゼンカズラの蔦に覆われた空き家がありますね。


 家の壁にまでびっしり這うことが出来るのは、蔦の節々にある気根があるからです。

 気根は、空気中の水分を取り込んだり、木々に巻き付いて放さないようにするためのものなんですけどね。

 これが凄く丈夫なんですよ。

 壁がひび割れるほど、と聞いたことがありますから、庭に植えるなと云われるのも納得ですよね。 


 もう一つ、「毒がある」なんて言われたことで、昔はノウゼンカズラを庭に植えることを良しとしなかったんです。


 でも、この毒は誤解です。


 確かに、ノウゼンカズラの花に触れることで、手が被れることがあります。

 これは、ノウゼンカズラの蜜や花弁に、ラパコールという成分が多く含まれているからだそうです。


  化学的にはビタミン Kの誘導体だそうですが、刺激のある物質のようで、花の汁が手についたり、目に入ると炎症を起こすことがあるんだとか。


 植物に触れた手は、きちんと流水で洗わないといけませんね。今は、手の汚れ防止だけでなく、毛虫や草木のトゲも防げるガーデニング用の手袋なんていうのもありますからね。

 夏の植物は、日差しを浴びてぐんぐん伸びますから、手荒れに気を付けて手入れをしたいものです。


 さて、毒があると勘違いされた「ノウゼンカズラ」にも、花言葉があります。


 花言葉は「名声」「名誉」です。


 これは、開いた花の形が花がラッパの形のように見えることでTrumpet vineトランペット-ヴァインTrumpet creeperトランペット-クリーパーと呼ばれることが由来のようです。

 トランペットは、勝利者を祝福するファンファーレを吹くものですし、毒の影は欠片もないですね。


 毒があると勘違いされた植物って、意外とあるんですよね。

 もう一つ、紹介したいと思います。


 次は「チューリップ」の話です。

 動物好きの方は、チューリップに毒があると聞いたことがあると思います。それ、誤認です。


 日本植物生理学会というサイトがあり、そちらの質問コーナーで、詳しく説明されています。(Twitterでも紹介されてます)


 ペットがチューリップの球根を掘り出して食べたことで、嘔吐や消化不良などの中毒症状を起こした実例があるようです。

 そのことから「動物には毒性がある植物」のリストにチューリップが載るようになり、人に害がある毒を持っていると誤認が広まったようです。


 動物が中毒症状を起こすことは事実のようですし、人にとって無害とも言いきれないのは、アレルギー物質を含んでいるためです。

 その為、人によっては葉や茎の汁に触れて湿疹が出たり、かぶれたりと異常が出るそうです。これが、毒性があるという誤認に拍車をかけた理由かもしれませんね。

 ノウゼンカズラと同様に、庭の手入れは手袋着用と手洗いを心がけ、ペットが球根を掘り出したりしないよう気を付けたいですね。


 「チューリップ」の花言葉は「思いやり」です。

 これは、オランダに伝わる伝説が由来になります。


 美しい少女が、三人の騎士に求婚されました。でも、少女は一人を選べませんでした。

 三人はそれぞれ家宝を送りましたが、誰一人傷つけたくないと言う少女は、女神フローラに自分を花に変えて欲しいと願います。すると、その姿はチューリップになりました。

 また、三人の騎士が贈った家宝に由来し、チューリップは花が王冠、葉が剣、そして球根が黄金を表していると云われてます。


 悲しい伝説ですが、これも毒の影は欠片もありませんね。


 最後になりますが、これらに毒性がないとは言え、洗い流しても皮膚に異常が続くようでしたら、皮膚科を受診すると良いと思います。


 次回は、再び毒性のある植物の話をしたいと思います。さて、どれにしましょうかね。

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