EP7
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……。
…………。
”チュンチュンチュンチュン”
―――今日も朝が来たよ。
「くぅ~……。」
”ピコン” ”ピコン”
目覚ましにもなるカラータイマーが鳴り始める。
起きる時間の10秒前だ。
1秒ごとに鳴るピコンは、一つ鳴るごとにどんどん音が大きく、真に迫ってくるようだ。
”デュア!!!”
「わぁああぁぁ!!」
女の子は最後の音に驚き飛び跳ねる様に起きた。
―――毎日の事でしょう。なんでいつもそんなに驚くんだよ。
「あー、うーたんおはよう。
今日も一日が始まる……。」
女の子はのっそりと布団から抜け出した。
「うんしょ。……うんしょ。」
”プチプチ”と女の子はパジャマのボタンを外して行く。
”ふぁさっ”
「うっ……。よし。」
”カチッ”
器用に後ろ手でホックを止める。
”ガチャ”
クローゼットを開けてかけてあるブラウスを取り出す。
”プチプチプチ”
ブラウスのボタンをたどたどしく着けて行く。
”ガサガサッ”
「うーん。あったぁ……。」
床に散らばっている服の中からスーツのスカートを引っ張り出す。
―――なんでスカートだけ床に落ちてるんだよ。
「……よし。準備出来たぁ……。」
―――うん。ばっちり決まってるよ。
「……ふーっ。じゃぁ仕事に……。
行く前にまずご飯食べようぅ……。」
―――そうだね。朝ごはんは大事。
”トテトテトテトテ”
“がさっ” ”ガチャ”
女の子は台所まで歩いて行き、常備している菓子パンのクリームパンと、コーヒー牛乳を冷蔵庫から取り出した。
「このセットが至高ぅ……。」
―――大好きだねそこのクリームパン。いつもご主人様そればっかり。
”ビリビリーッ” ”プスッ”
”もそもそもそ” ”チュウゥ~ウ”
よっぽど好きなのか女の子は一心不乱にクリームパンとコーヒー牛乳を食べて飲んで行く。
―――朝ごはんは大事。しっかり食べてね。
「ふぅーっ。
美味しかったぁ……。」
女の子は満足そうな顔で言った。
「うーたん。
じゃぁそろそろ、僕……行って来るよ……。」
―――うん。ご主人様。いつも応援してる。
”テクテクテクテク”
”ガチャ” ”バタン”
彼女は日々を乗り越えるため、いつもの自分になれるうーたんのいるこの部屋を後にする。
―――頑張れ。ご主人様。
”トテトテトテ”
外に繋がる廊下を、確かな足取りで踏みしめて行く。
”グッグッ”
ヒールに足を強く突っ込んだ。
”カッカッ”
「んしょ。」
「ふーっ……。
……うーたん行って来る。」
”ガチャガチャ……、ガチャ。”
―――ご主人様。行ってらっしゃい。
これが彼女の日常。
永遠かもしれない日々の中を、もがき苦しみ、それでも逃げずに進み続ける。
日々に迷い一人なったら泣いて怯える彼女も、朝になったら、スーツを着て玄関を出るのだ。
毎日を戦い続ける勇気。
彼女は誰でもない自分を救う、日々を戦うヒーローである。
…………。
……。
Fin。
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【楽曲を小説にするシリーズ】3分【ASMR】 bbbcat @bbbcat
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