青と茜の空の下〜通勤途中で短歌を読む初夏

山乃そら

青と茜の空の下

青と茜の空の下スーパーに

駆け込む母家路を急ぐ


日の終わりに子の憂うつ父の怒り

難解な問いにひとり悩む


朝陽受け鳥のさえずり衣替え

嫌なことは全部置いてきた


カサっと青草を踏む音に気づく

姿は見えぬがカナチョロあり


夕食後気づけば月は天高く

苺色探すアラフィフ姉妹


田植え後の蔵王山映す水田は

ウユニ塩湖より広いかも


風揺らぐ夏草の音があったらば

カラカラカラと涼やかだろう


梅雨の日に失言気をつけて話す

初対面の井戸端会議


雨の後晴れて気温は上昇中

それでも囲む家族ラーメン


日暮れ前窓にあかりが灯るころ

『君を乗せて』が脳内再生


インスタの映える蛍の写真見て

はしゃぐ吾子夏の思い出


雨上がり山腹にはう龍の雲

いにしえの人も祈っただろう


休日に動画で探すSHO-TIME

気づけば夕飯自己嫌悪


暑くなり憂鬱な気持ちで出勤す

外は青空飛行機雲


頑張って交感神経優位の夜

眠れる音楽聞いてみるけど


農作業慣れぬ仕事に腰痛み

汗をかきそしてぐっすり眠る


病院の予約をとり終えホッとして

仕事やすんだ雨降りの午後


日焼けあと消そうと腕を陽にさらす

濃く色重ねただけの肌になり


この道をまっすぐに行くどこまでも

知らない街や地球がみたい


車窓から見える稲の緑絨毯

一人時間と派遣の終了




      

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青と茜の空の下〜通勤途中で短歌を読む初夏 山乃そら @yura_ra

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ