END 許されない者

 気付くと懐かしい風景。

 ラナと良く来ていた高台。


 ふわりと風が吹き草が靡く。



「グラドここにいたのね」


 ずっと聞きたかった声。


 振り返るとそこにはずと見たかった景色。


 ずっと求め続けていたもの。


 ラナの笑顔。


「明日から王都よね。準備は大丈夫なの?」


 ああ、そうだ……これは俺が王都に行く前日、この後散々愛し合った後、未練たらたらで王都に行くことになる。


 そこで俺は勇者として訓練を受けていくことになる。


 本当に?


 今の俺には過去の記憶? この場合は未来の記憶になるのか。

 もし知っている通り、歴史が進むのなら……。


 そして、俺の予想は半分当たっていた。


 未来は俺の知っている通り進む。

 ただそこにユリーは居なかった。


 賢者の弟子を名乗る別の男がユリアンヌのいるべき場所に居た。


 煮えきれない感情のまま俺はラナを守るためだけに動いた。


 でも、結果はユリアンヌの言っていたとおり、ラナとグラナを人質に取られ、俺は抵抗できずに殺された。


 結局、最後のチャンスを俺は活かすことが出来なかった。



 失意のどん底で俺はまた目が覚める。


 あの高台で。

 見たことのある景色が目の前に広がる。


 そして気付いた。

 今度は俺がユリーの変わりなのだと。

 俺は許されるべきではないのだという事を。


 それを裏付けるようにラナが俺に声を掛けてくる。


「グラドここにいたのね」と、


 俺が何より大切にしたかった笑顔で。




【完】





――――――――――――――――――――

《あとがき》


 最後まで続きを読んで頂きありがとうございます。


 この作品は読者の皆様の温かい励ましのお陰で継続する事ができたと言っても過言ではなさありません。


 なので今回のラストにつきましては、お気付きの方はいたかもしれませんが、読者様=裁定者に見立て、読者の皆様の意見を元にラストを決めようと考えておりました。


 なのでコンメトが何も無いのが一番怖かったのですが……コメントを下さった読者の皆様ありがとうございます。


 まあ今回のラストに関しては、見方を変えればグラドに関していえば必ずしも不幸とは限りません。最初はそこまで書いたのですが止めて、今回の形で締めさせて頂きました。

 結局はとらえ方の問題ですね。


 意見は今後の作品作りの参考とさせていただきますので、色々な意見を頂けると嬉しいです。


 兎に角。最後まで付き合って頂いた読者の皆様には最大限の感謝を。



『本当にありがとうございました』。


 


 

 



 


 

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許されない者【完結済】 コアラvsラッコ @beeline-3taro

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