第220話 植木鉢
Side:
冒険部の全員はそれを守っている。
でないと股間に蹴りが飛んで来るからだ。
アイスホッケーで使う、股間ガードプロテクターを使っても駄目だった。
それを使うとより一層激しい蹴りが飛んで来る。
どうやら、冒険部は
やっぱりなと思う。
得体の知れない
でも、相変わらず態度は友達に接するようだ。
「なあ、リーダー。
少なくても俺は
「あの頑丈さを突破できるのか?」
「武器を使えば良いじゃないか」
「通用しなかったらどうする。ケツバットは駄目だったのを忘れたか」
「ケツは急所じゃないからな」
「確実に仕留める自信がないなら手を出さないことだ」
やいのやいのと、冒険者部のメンバーが話し始めた。
こいつら、
だが、そんなことを言うとビビッていると思われるんだろうな。
「じゃ、植木鉢を落とすのはどうだ」
だが、俺は止めないでおいた。
だが、
そして何事もないように植木鉢を抱えて歩き始めた。
上を見ることもしないなんて。
俺の心臓はみっともないぐらいバクバクいっている。
叫びだしたいぐらいだ。
あれがもしポーションのせいでないとしたら、とんだ化け物だ。
「
「そういうのもあるんじゃね」
ねーよ、そんなポーション聞いたこともない。
部室に戻ると
もしかしてばれたのか?
俺はやりたくなかったんだ。
「魚が降って来る怪奇現象があるって知ってた? 俺なんか植木鉢が降ってきたんだぜ。台風でよく植木鉢が飛ぶって聞いたけど本当だな」
能天気な台詞。
いかにも植木鉢が自然現象で飛んだと信じているようだ。
「なあ、
「うん、割れると植物が可哀想だからね」
「植木鉢が落ちてくるとどうして分かった?」
「音で」
ほら、ポーションじゃなかった。
じゃあ、後ろから襲い掛かっても音でばれる。
「吹かしこくなよ。そんなの達人じゃないか」
「ああ、そう、耳、耳が良くなるポーションを飲んでたんだ。新製品で、テストを兼ねてやっている。老人は耳が悪いだろう」
台詞が棒読みになった。
「ほらな、ポーションだった。俺の言う通りだろう」
馬鹿、それを言ったら植木鉢を落とした犯人が俺達だってばれるだろう。
「うんうん、そういうポーション」
「植木鉢は置いといて、ダンジョン行こうぜ」
俺は話題を変えたいのと、モヤモヤした感情を振り払いたくてそう言った。
「よし、行こう。いつものダンジョンで良いな。
「うん」
ダンジョンで
釣り出されてくるゴブリンが1匹なのだ。
3回ぐらいなら偶然だろう。
だが10回も続くとさすがにおかしい。
気配を消せても、ゴブリンを1匹にすることはできない。
それとも1匹のゴブリンを選んでいる?
いいや、そうなると遠い範囲の場所を探さないといけないし。
ここに戻ってくる途中で別のゴブリンに出くわすこともあるはずだ。
そんな都合のいい話はない。
やはり得体の知れない奴だ。
この不気味さを誰かに話したい。
冒険部の奴は駄目だ。
先生も駄目だろうな。
誰か俺の話を聞いてくれ。
スクールカウンセラーが良いかもな。
今度相談してみよう。
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貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~ 喰寝丸太 @455834
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