第219話 ひったくり
「私のバッグが!!」
おばさんがバッグをひったくられたようだ。
二人乗りの原付バイクが逃げて行く。
ヤングファントムの出番だな。
【ひったくりか】
【よく事件に遭遇するな】
【ドラマだから】
【ここからどういう展開を見せるか】
ファントム仮面を被りファントム走り。
原付バイクを追いかける。
原付バイクにはすぐに追いついた。
バイクの後ろにある鉄のフレームを掴む。
バイクは急停止。
ひったくり犯は宙を飛んだ。
「何が。おい逃げるぞ」
「くそっ、足を捻った」
「逃がすかよ」
【逃がすかよは敵役のチンピラの台詞】
【これ普通に暴行じゃないか】
【私人逮捕というのがあってな。一般人も逮捕できる】
「お前はヤングファントム! くそが!」
ひったくり犯が振り返り、俺を確認したらしい。
俺はひったくり犯二人の襟首を掴んだ。
「おらっ、放せよ!」
「俺達は暴走族、マジックブリッドのメンバーだ!」
「はいはい、暴走族が怖くてモンスター退治はできない」
【おっ、暴走族と揉めるのか】
【どうせ夢精して終わるんだろう】
【あっ、無双な】
【いやそれで合っているかも。底辺おっさんの夢物語だから】
パトカーのサイレンが聞こえて来た。
「キャットトリック」
パンという音が鳴った。
これで警察が分かるはずだ。
警官が来た。
「銃声がしたが、恰好から見るにその二人が窃盗犯か」
「ご苦労様です」
「君は偽ファントムかね。仮面を脱ぎたまえ」
「では引き渡しましたから。ファントムジャンプ」
ビルの屋上まで一気にジャンプした。
【おしい。目測を誤ってビルの壁面にぶつかれば良かったのに】
【笑いは取れたな】
【ここから暴走族がお礼回りするのか】
【ヤングファントムは
俺はファントム仮面を取って、
しばらくすると、パラパラパラッパ―という大音量共にバイクの集団が現れた。
そいつらは校庭になだれ込んだ。
そこには影武者のヤングファントムが待ち構えていた。
「不法侵入にゃ。申し開きはあるのかにゃ」
「袋叩きだ!」
「やっておしまいにゃ!!」
【なにが始まる。ワクワク】
【終了間際の戦闘だな】
暴走族の何倍もの数のケットシーが現れて、暴走族を痛めつけ始めた。
「必殺技ファントム、ケットシー分身召喚にゃ」
分身してないだろう。
【凄いな。戦闘シーンが結構、本物っぽい】
【CGにしても金掛けているな】
【おっ、パトカーのサイレン】
【凄い音だな】
【30台はいると思われる】
「必殺技ファントム、ケットシー分身送還にゃ」
ケットシー達が道なき道を逃げて行く。
学校の塀を乗り越え、家の屋根に登り駆けていく。
【パルクールだったっけ】
【うん、ケットシーのパルクールは豪快だな】
【おうビルの壁面とか平気で駆けあがっていく】
【これだけでも今回のエピソードは良かったな】
「くそう、ケットシー達め人気を独り占めしやがって」
【底辺おっさんはカリスマがないんだよ】
【そうそう、ケットシーと比べ物にならない】
俺は影武者のケットシーのそばに寄った。
「仮面を取りたまえ」
「はいにゃ」
【仮面取るんだ】
【そりゃ取るだろ】
【警官に言われたら取るしかない】
【底辺おっさんは逃げたけどな】
「君がこの人数を?」
「はいにゃ。必殺技にゃ」
「暴力はいけないよ」
「警告はしたにゃ。不法侵入にゃ。正当防衛にゃ。私人逮捕にゃ」
「過剰防衛に見えるが」
「弁護士を通じて話をするにゃ。にゃは未成年にゃ」
影武者のケットシーは警察に連れて行かれた。
俺はやじうまですを通して、事なきを得た。
遅れて学校の教室に行くと先生がいて、授業をやっていた。
「
「はい」
【あの場面では先生に面白いことを言ってごねないと】
【そうだ足掻けよ。UFOにさらわれたんですとか、色々とあるだろ】
【ひったくり犯を捕まえましたとか素直に言えば良いのに】
【乱闘見物は余計だったな】
【確かにそれをやったら、遅刻の罪は確定だな】
うん、まあ授業を聞いていても眠いだけだ。
俺は腕に付けたスマホで、他の人の配信動画を見始めた。
【こいつ、反省の色がないぞ】
【そういう生徒はいるな】
【くそ、つまらん終わり方だ】
「パークールやるぞ」
【パルクールね】
【おっ、廊下の窓から降りて、体育館の壁を登って屋根に出た】
【そっから校舎の屋上に飛ぶのか】
【結構いいかも。ケットシーの二番煎じだけど】
屋上でごろりと横になった。
なにやっているんだろうな。
すこしアンニュイな気分。
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