後悔のない別れなんてない

だからやっぱり愛してる

携帯に君のぬか漬け食べたいとその一言が最後の会話

検査でしょ我慢しないとダメですよそんな風に返してしまった

辛いわよ丈夫な人が弱るのを励ますだけの日々というのは

そうかしら羨ましいと思うのよ感謝を愛を言える時間が

じわじわと恋しさ募る今更に愛していると言えば良かった

いい時も良くない時もあったけどいつも一緒に居たものね

味気ない一人ぼっちの三食はテレビの笑いも可笑しくなくて

広いのよ貴方のいないマイホーム気配があるから離れないけど

納骨は清々しいほど晴れた日で涙を拭けと言ってるみたい

そういえば晴れ男だと笑ってた運動会も花火祭りも

久々に会った孫らはいとしくてそのうち一人は貴方そっくり

家中に灯る照明賑わう夜幼子の髪乾かす幸せ

雑魚寝する大中小の人々に遺せたものを噛み締める

寂しさも和らぐかしら孫たちとLINE交換したのよ私

ボランティア誘ってくれた旧友と絵本を読んで聞かせてきたの

変わらないうさぎも豚も山羊たちも子どもの瞳ぴかぴかにこり

あら素敵本の魔法にかけられて私も本屋に寄って帰ろう

貴方ならどんな感想言うかしらもっと早くに読みたかったわ

ふと弱るその日に限ってやってくる孫のスタンプ笑っちゃう

無意識に話かけるの許してねだからやっぱり愛しているの