第15話:断罪の果てに
「やめてくれ、許してくれ、殺さないでくれ!
あやまる、謝るから許してくれ!
言う、言うから、解術方法を言うから許してくれ!」
「さっさと言いなさい。
嘘だったら、ギネビアとフローレンスと同じ呪いをかけてあげる。
皇帝陛下には許可をとっているのよ。
貴男程度の人間など、皇帝陛下は歯牙にもかけておられないわ。
もう見捨てられているの、生き残りたければ早く言いなさい!」
手当たり次第に皇帝へ手紙を送ったら、上手い具合に届きました。
ペンブルック侯爵は多くの皇帝直属騎士から嫌われていたのでしょう。
表面上は味方しているように見せかけながら、逆に陥れようとしていたのです。
私が動いたその日のうちに手紙が皇帝に届くくらいですから。
翌日には返事が届きました。
皇帝も、今はまだ私と正面から戦う気はなかったようです。
私と戦うのは、世界征服をしてからと決めているようです。
今私と戦えば、どちらが勝っても皇国は傾くでしょう。
皇帝に虐げられている多くの国が、皇国に牙をむくことでしょう。
それくらいの事は、武断の皇帝も理解していたのです。
私は皇帝から許可証を得て、即座に皇都に入りペンブルック侯爵屋敷を奇襲しましたが、ペンブルック侯爵は油断しきっていました。
皇都全体を護る魔法防御は維持されているのですから、それもしかたないです。
それと皇帝に切り捨てられるとは思っていなかったのでしょう。
ろくな才能も武功もないのに、思い上がりもはなはだしいです。
ペンブルック侯爵よりも先に、実行犯の上級魔法使いを確保しました。
母上に呪いをかけた実行犯を確保しておかないと、ペンブルック侯爵を確保しても、呪いを解く術式を聞きだす事ができない可能性があるのです。
魔法使いが相手で、純粋な魔力勝負なら、私は誰にも負けません。
上級魔法使いが百人束になってかかってきても平気です。
上級魔法使いから解術の方法を聞き出し、念の為にペンブルック侯爵からも聞きだし、ガッチリと拘束した上で私たちの新たな棲家、城に連行しました。
二人から聞きだした解術の魔法陣を準備すると同時に、失敗した時に発動する、二人の身体が腐って七日七晩苦しみ抜いて死ぬ魔法陣も用意しました。
一般的によく知られた呪いなので、二人も理解できたのでしょう。
顔面蒼白になって震えていましたが、解術方法を訂正しようとしませんでしたから、最初から本当の解術方法を白状していたのでしょう。
母上にかけていた石化の魔法を解いて、次に呪いも解き、母上の健康を確認してから、上級魔法使いとペンブルック侯爵を即座に殺しました。
母上に気付かれないように、皇都に帰すと城から連れ出して直ぐに殺しました。
生かしておくと、また何か企むに違いないからです。
本当はもっと苦しませたかったのですが、諦めて簡単に殺しました。
ギネビアとフローレンスも、苦しませて恨みを晴らすよりも、後顧の憂いをなくすために即座に殺しました。
ローレン侯爵ベルドも殺しました。
皇帝から許可された、私を恨んでいそうな者は皆殺しにしました。
問題は皇帝が世界制覇した後ですが、その時はその時の事です。
私は今母上と穏やかに暮らしたいだけなのです。
まあ、その時はその時の事です。
一対一でも、私対皇国全体でも、負ける気はしません。
ですが、油断なく準備しておきましょう。
侯爵令嬢の豪華な仮面の裏に隠された真実 克全 @dokatu
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