TRACK6 どさんこ娘とお泊り
「お兄さ~ん。レアアイテムドロップした~?」
「うわぁ、やっぱお兄さん運がいいねえ」
「……え? なんで同じ家の中でオンラインゲームやってるんだって?」
「ひとりよりもふたりのほうが楽しいでしょ?」
「もしかして嫌だった? 違う? ふふ、ならいいっしょ、ね?」//甘えるように
「でも私がノートパソコンでしかも無線だからなあ。どうしてもタイムラグが起こっちゃう」
「ねえねえ、お兄さん。私と一緒に暮らさない?」
「わ、きたなっ。コーヒー噴き出さないでよ」
「いや、だってさぁ。せっかく近所に住んでて気心も知れた仲じゃん、私たち」
「ふたりで一緒の家に住んで家賃折半したほうが、お互いの家計も助かると思わない?」
「うん、うん、……そだね~。男女が同じ屋根の下、何も起こらないはずがなく……」
「冗談だって、そんな怒らなくてもいいべや~」
「だってさぁ、お兄さんのおうち、部屋いくつか余ってるでしょ?」
「そのうちのひとつを私の部屋にしてさ、リビングで一緒に誰かとご飯食べたいんだよぉ」
「あと昨日ホラゲ実況見ちゃってひとりでおうち帰れない……怖い……」//涙目
「そんなもん見るほうが悪い? それはそう」
「えーん、見捨てないでよ、お兄さ~ん。なんでもするからさぁ」//ふざけている
「え……うん、なんでもするって言ったけど……」//戸惑い
「え、私ナニされちゃうんです? え? え?」
***
「お風呂をいただいてしまった……」
「お兄さんのパジャマ、貸してくれてありがとう。男の人のはやっぱ大きいね」
「あ、ベッドも貸してくれるの? 別に他の部屋でもいいんだけど……ここでいいの? そっか~」
「え、もうちょい端によってって……お兄さんも同じベッドで寝るの!?」
「や~……なんでもするとは言ったけどさ……」
「いや、お兄さんのことは嫌いじゃないけど、もうちょい段階を踏んでですね……」//むにゃむにゃと口の中でつぶやく
//SE:抱きつかれる音
「のわぁっ!? 急に抱きついたら危ないっしょや!」
「え? このまま抱き合った格好で寝るの? 私の身体の下に敷いた腕、しびれない?」
「まあ、お兄さんがいいなら、いいけど……」
「はい、ぎゅっ。リモコンで電気消すよ~」
//SE:リモコンで電気を消す音
「……お兄さんって、意外と甘えたさんなんだねぇ」//耳元で
「そっかそっか、最近小説がうまく書けないのかあ」
「大変だねぇ。最近根を詰めすぎて疲れたのかもしれないねぇ。よしよし……」//頭を撫でる
「私は小説のこと、よくわかんないけどさ。お兄さんは思い詰めがちだから、またデートでもしてリフレッシュすればいいんじゃない?」
「うん、私はいつでも付き合うよ。大学生は時間いっぱいあるからさ~」
「あ~、そっか。締め切りに追われて心の余裕がなくなってるのかあ」
「それはちょっとわかるかも。私もレポートの締め切りに追われてるときは他のこと考えられないもんね」
「でもさ、お兄さん。心に余裕がなくなってたら、いいものも書けないんじゃない?」
「少し深呼吸してさ、まわりを見渡してみたら、ちょっとだけ楽になるかもよ?」
「今ちょっと深呼吸しよっか。はい、吸って~……吐いて~……」
「……少しは落ち着いた?」
「え? 私が抱きついてるから、呼吸をしたらいい匂いがする?」
「や~ん、お兄さんのえっち~」//ふざけている
「ごめんて。冗談だって」
「じゃあ私もお兄さんの匂い嗅いであげるから、これで痛み分けね」
「え? 意味がわからない? 私もわからない」
//匂いを嗅ぐ
「お兄さんちのシャンプーの匂い、いい匂いだよね~。どこのシャンプー使ってるの?」
「男性用ってあんな匂いするやつあるんだねえ。私も買ってみようかな?」
「……え? 一緒に暮らすんなら、買う必要ないだろって?」
「一緒に暮らすってやつ、考えてくれてたんだ? ふーん……?」//意味深な笑い
「んーん、嬉しいよ。ありがとね、お兄さん」
「一緒に暮らすついでに、ひとつ提案があるんだけどさ。聞いてくれる?」
「お兄さんって、牛の世話とか興味ある?」
「ほら、小説家って、どこでも小説は書けるじゃん?」
「北海道で牧場やりながら小説を書くってどう思う? 結構いい暮らしじゃん?」
「小説が書けなくなっても、牧場の収入はあるからさ。兼業作家、いいじゃん」
「え? まるでプロポーズされてるみたいだって?」
「ふっふっふ……どう思うかはご想像におまかせしようかな」//意味深な笑い
「ただ、一緒に北海道に来てほしいのはホント」
「ま~、うちのお父さん、怖いけどね~。お兄さんを実家に連れてきたら、どんな反応するか楽しみだな~」//面白そうに
「面白がってるだろって? 御名答」
「怒んないでね? それだけ私はお兄さんのこと気に入ってるってことだからさ~」
「……とまあ、こんなくだらない話をしてたら、少しは気分転換になった?」
「ええ~? いいアイデアが浮かんだから、今から小説を書くの!?」
「もう、電気消しちゃったし、私もおねむなんですけど~!」
「……ふふっ。お兄さんがまた小説を書けるようになってよかった」
「じゃあ、電気つけるから、早くパソコンを開いた開いた!」
//SE:リモコンで電気をつける音
「小説のアイデアは、すぐ書かないと忘れちゃうんでしょ? 知らんけど」
「私はもう寝るからね~。お先におやすみ、お兄さん」//眠そうな声
どさんこ娘に癒やされたいっ! 永久保セツナ @0922
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