歩みは続いていく。失い傷つきながらも、生きていく人々の一幕。
- ★★★ Excellent!!!
変わりゆく時代の波に呑まれ、失われた部族と国の出身者が出会い、動き出す物語。
新旧、貧富、人種や民族、数多の文化や信仰。差異がぶつかり合い描き出す光と影。秘されていた魔術が科学へと変わりゆく、幻想とSFが混ざり合った様相。異国の香りが重なり合い消えていく、雑踏の最中を歩くような空気感。どれもがとても味わい深い作品です。
舞台は多種多様な人々が入り乱れ、繁栄を確立しつつある国、ソルセリア。新興国家に追いやられた部族から、神の現身として擁立された主人公・ナイアは、儀式のために神殿へと向かっていた。その道中、ナイアは別大陸にて影へ追いやられた国・イェルニア出身の男と出会う。探すよう伝え聞いていた、「イェルニアの男」と。
神殿へ向かう道中に増えていく同行者、関わり合う人々は皆、変革の中で何かを失いながらも歩いていく者たち。国のために傷ついた彼らは、けれど未来を信じて生きている。
多くの人と問題とが交差する様を各所で垣間見ながら、ナイアが到達する一つのハッピーエンドを、ぜひ見届けてください。