漆黒の呪詛が呼ぶもの

頻発する死、そして幼女の不可解な行動。
凶事に応じているのか、それとも
呼んでいるのか。
 目に見えない禍神、妖魅、魔物。
占卜にて捉えんとするが…。

閉ざされた匣の中で、蒙昧な呪詛が
新たなどす黒い呪詛を呼ぶ。

閉鎖された環境下での人の恐ろしさや
残酷さが描かれるが、それだけでは
ない。人の理解の範疇からは測れない
不可思議で畏ろしいものが背後に控える、
そんな事までもが想起させられるのだ。

但し、物語に何一つ確実な『解』はない。
ただ現象と曲解と結末だけが意味深に、
しかし、淡々と綴られている。

    その、其処は彼とない怖さ。

読後、この『呪詛』という題名が再び
脳裏に湧き上がり循環してゆく。