第7話 裏『サーカス』

「あれ、何?」

街道を出てしばらく歩くと、丘の上のテントが立っていた。 

「サーカス団じゃないか?ほら、ジャグリングとか練習してるだろ。」

一輪車に乗ったり、猿を使って輪をくぐらせたりしている。

しばらく立ち止まって練習風景を見ていた。

サーカスなんて子どものとき以来だ。

リガドは目を大きく開いたり、丸くしたり、楽しんでいるようだった。

「初めてか?」

「ええ。こんな村にも来るのかしら?」

「おそらく通っただけだろ。ここから街へ行くのは便利だからな。」

「へえ。」

「あああ……!!!!」 

ドサッと音がして横を向くと、女の子がポールと一輪車と一緒に倒れていた。

「おい、大丈夫か。」

俺が助け起こすと、目を回していた。

「目がチカチカする。ごめんね、ありがとうーーあれ?お客さん?」

驚いたのか、いきなり手を振りほどいてテントによりかかる。

「迷惑かけました!ごめんなさい。」

「気にしてない。」

リカドは女の子に駆け寄る。

「足、捻ってるわね。」 

「え?ちょっと痛いですけど、そこまーー。」

「動かしちゃダメ!」

いきなり大声を出されて、女の子も俺もびっくりした。

「大したことないわね……、でも冷やさないと悪化するわ。」

「ロゲン、人を呼んできて。」

「あ、ああ。」

俺は急いで近くにいたサーカスの人間を探すために走り回った。

結局、10分ほど丘まで登ってようやく見つけた。

「おい、おーい!」

俺が声をかけると、ジャグリングを

戻ってくると、リガドが女の子の足にテーピングをしていた。

「ビョル、大丈夫か?」

男は声をかけて、軽く具合を見ると

「これは酷いな……かなり痛かっただろ。」

「……う、うん。」

ビョルと呼ばれた女の子は恥ずかしそうに頷いた。

「ありがとうございます。この状態じゃ自力で助けも呼べんかっただろう。」

リガドにも頭を下げて、

「そちらの方も手当をしてくれてありがとうございます。丁寧にしていただいて。」

「そんな、対してたことはしてないわ。」

「それじゃあ、僕らはここで。」

男はビョルをおぶった。

「また、この村でもサーカスやるから観に来てね。」

ビョルから2枚のチケットを受け取った。

「……今から死ぬのにもらってもね。」

「せっかくなんだし記念にもらったらどうだ?」

「ええ、悪くないかもね。」

リガドは服の中にチケットをしまった。

それからまたしばらく歩き続けた。












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希望の在場所 日奈久 @aishifrom

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