生活と地続き

裏参道

生活と地続き

角食を登記申請するときにジャムとバターで面積を割る

数学を使わぬはずの生活に 不定形 黄身 半熟の白身

野菜とか果物とかが生ゴミになるのを死ぬと言わないお前ら

手料理が旨くなるとかいう夢を叶えるための顆粒だしぱらり

冷食を解凍するとき氷河期がレンジの中で悲鳴をあげてる


穴開いたパンツを捨てた昨晩に生まれた亀が海辺で死んだ

マントルの一番最初を考える 詰め替え終わった洗剤が聞く

冷蔵庫の唸り声が恐竜と同じだって気付いてるかな、


日本語の一番最初はあいから始まる 俺を忘れた祖母のそう

もう星が見えなくなるのは傘のない雨の日 レンズがずぶ濡れだから


充電の切れたスマホの通知音 同じ音程でしゃっくりが出た

何光年先の星にも聞かれない小さな叫びがあるはずでいて、


ばあちゃん俺もう恐竜とか好きじゃないよってポスターに言った

ディスプレイ越しでいいとかいうやつは祖母の煮付けの味を知らない


明日なんてわからないまま生命は執着をただ進化と呼んだ


俺たちの千鳥足にもいずれかの学術的な意味があってよ

白亜紀になかった通帳残高の減っていく数 卵の化石


1日を24時間って決めたとき 隣の人の指借りたのかな

軟骨の焼き鳥タレがうまいこと 始祖鳥お前知ってて生きてた?


生ゴミを漁るカラスにお前らの先祖のことをごめんと謝る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生活と地続き 裏参道 @ura_310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る