盗賊の討伐と鬼娘
日が昇り辺りが明るくなり始めた頃、勇人はKar98小銃とグロックサブマシンガンを携帯して野営地の周りまで接近していた。
そして見張りの盗賊に狙いを定めて狙撃した。
見張りは力が抜けるようにドスッと倒れる。
銃声を聞いた盗賊たちが騒ぐようにテントから続々とできてきた。
勇人はボルトを動かして次弾を装填するとその集団の誰かを適当に射殺した。
盗賊たちは勇人の存在に気づいて武器を手に取って走り始めた。
勇人は射撃体勢を解くと急いで後退する。
もちろんこれも作戦のうちだ。
勇人を追いかける盗賊たちが野営地から十分離れたのを見計らってミミが空から攻撃を開始した。
投下された手榴弾が盗賊の集団に付近に着弾すると数人がコケるように地面に倒れこんでもがき始めた。
突然の爆発に盗賊たちが動揺するがミミの存在にはまだ気づいていない。
盗賊たちの追撃速度がひどく鈍ったところでミミが2発目の手榴弾を投下した。
更に数名の盗賊が負傷し、表情に恐怖や焦りが見られ始め、上空にいるミミの存在にも気づいたようだ。
盗賊たちの追撃が完全に止まった。
それを見た勇人は小銃を構えて盗賊へ反転攻撃に移った。
銃声がなると高確率で仲間が倒れるのを見た盗賊たちは勇人に接近そぶりを見せずに後ずさりしようとする。
だが勇人はまだ盗賊たちに積極的には近づかない。
勇人にとって同じ飛び道具を持った弓兵が数人いたので近づくのはリスキーだったからだ。
そこへミミの3度目の攻撃を受けた盗賊達が負傷した仲間を置いて逃走を開始する。
勇人は負傷して動けない盗賊たちを息の根を止めるように射殺して回った後、弾薬を再装填し、再度、野営地に接近した。
盗賊たちは急いで逃走準備をしているようだ。
勇人はすかさず小銃を構えて見えている盗賊を狙撃していく。
やがて盗賊たちは物陰に隠れてしまい、勇人と射線が合う盗賊がいなくなる。
盗賊はもう片手で数えるくらいに減っているので勇人は武装をサブマシンガンに持ち替えると野営地に侵入した。
勇人は隠れていた盗賊2人を見つけると反撃を許さないように即射殺した。
―残りはどこだ?
勇人はサブマシンガンを右手に持って構えたまま左手でテントの布を持ち上げる。
すると盗賊が剣を構えてダッシュしてきた。
勇人は慌ててサブマシンガンをフルオート射撃して仕留める。
テント内には女性が3人いて、全員縛られていたが一人は金属具を使ってまで入念に拘束されているようだった。
「あぶねぇ、ギリギリだった!」
勇人のこの発言に金属具で拘束されていた赤紫髪の女の子がピンとくるように反応した。
勇人は盗賊の残党が気になるので女性たちにはほとんど目もくれずにテントを出た。
すると女性の悲鳴が別のテントから聞こえ、そちらを振り向くとナイフを片手に盗賊が怒鳴り散らしながら怯える女性を人質にして出てきた。
―何言ってるかわからんが近づいたらこの女を殺すぞって言ってるんだろうな。どうする。射撃に絶対の自信があるわけじゃない。一撃で仕留めようとするのはやめておこう。ここは見逃すのも手だが、それはやりたくないな。
だが事態は好転する。
盗賊の背後の空からミミが爪を使った急降下攻撃を仕掛けてきたのだ。
ミミは爪を立てて武器を持っている方の腕を切り裂く。
腕が切り取られるような大ダメージではないが衝撃で盗賊の手からナイフが弾き飛ばされた。
勇人は急接近するとサブマシンガンを単射して盗賊を射殺した。
「これで敵は全員倒したな」
勇人はそう言って安堵するが後ろから思いがけないような声がした。
「それはどうかしら?」
勇人はその声を聴いてすぐには振り返れないほど驚いてしまった。
―間違いない!これは日本語だ!
振り返るとそこには先ほど見かけた金属具で拘束されていた赤紫色の髪をした可愛らしい少女が別の少女の首に拘束具で繋がれた腕を回して人質を取るように立っていた。
さらに驚く要素があった。
拘束具をしている少女は額の上に二本の立派な角を生やしていたのだ。
「ま、まさか。鬼か?!」
鬼の少女は困った顔をする少女を人質にして勇人と対峙する。
「変わった身なりをしているけどその言葉、容姿、初めて見るあたしをオーガとかなんとかいう魔物と見間違えないところ。あんた、大和の民よね?」
―間違いない。オークやオーガみたいな魔物じゃない。日本の妖怪、鬼だ!大和の民か、たぶんこの世界の日本人のようなものなんだろう。
「俺は大鳳勇人(おおとりはやと)。あんたが言う大和とは違うが似たようなところから来た者だ!」
「大和の民と妖怪以外に大和言葉を話すやつなんて聞いたことないけど、まぁいいわ。悪いけど、あんたは女に手をあげない男みたいだからこれで言うことを聞いてもらうわ」
「いや、待てって。俺はあんたらに危害は加えないし、支配しようとも考えていない。好きなところにいて好きに生きればいいだろ!まさかそれで俺に命令しようってのか?」
「そのつもりさ。あんたが持っているその見たことない強力な武器をこっちへ投げなさい。変な真似をしたらこの女の首へし折る!」
―本当に首をへし折るくらいの腕力があるんだろう。どうする。さっきみたいないい手があればいいんだが。
二人のにらみ合いのさなか、ミミが意外な行動に出た。
なんと鬼の少女の隣まで寄って来たのだ。
「ちょ、ちょっと!こっちに寄らないでよ、あんた!こいつがどうなってもいいの?!」
「ミミ!離れろ」
二人の警告を無視してミミは鬼の少女を覗き込むように興味を示している。
まるで鬼の少女が危険ではないとわかっているかのような態度だった。
「何よ、コイツ!」
遂にミミが面白いものを見るような目つきで鬼の少女にくっ付く。
「!?」
勇人はただただ唖然と見ているしかなかった。
そんな中、人質の少女が痛がって苦しむ表情を見せた。
興奮して力んだ鬼の少女の腕の強さに耐えられなかったようだ。
それを見た鬼の少女は焦った表情をした後、意を決するように意外な行動に出た。
人質の少女を解放し素早くミミに腕を回して人質に取り直したのだ。
「いいわ、こっちを人質にしてやる!」
「なっ!」
だが重要な場面だ有るはずなのにそのペースを乱すようにミミは楽しそうな表情で勇人へ手を振るように翼を広げてパタパタさせる。
「こら、暴れないで!力の加減を間違えたらどうなると思ってるの!」
二人がもぞもぞあれやこれやしているのを勇人は考えるように見ていた。
―もしかして危害を加える気がないのか?
そう思い勇人は歩きながら近づく。
「ちょっと、二人とも落ち着いてくれ。なんか話し合えば何とかなりそうだし、ここは...」
「なんなの、コイツ。くそっ、もう知らない!」
勇人が言い終わる前にごそごそ動き回ろうとするミミを抑えようとした鬼の少女が結果的に勇人を拘束具で殴る形となった。
「ぶへらっ!」
勇人は殴られた衝撃で倒れこんでのびた。
それをミミと鬼の少女、少女も覗き込んだ。
現代兵器と女の子でモンスターを蹂躙します @kapiokapan
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