実戦テスト
それから勇人とミミは強いモンスターを試し狩りした。
戦い方として、開けた場所にいたり、誘い出せるタイプの魔物に最初にミミによる航空攻撃を行い、息があれば勇人が低倍率スコープを装着したKar98小銃で仕留める戦術を取った。
最初の標的は単体のオークだ。
勇人たちがオークを発見して直ぐにミミが爆装を携えて出撃し、航空攻撃を開始した。
ミミの投下した手榴弾は大きな的であるオークに直撃して爆発する。
命中したのが胸か首辺りの急所だったため、オークは爆煙をまといながら血まみれになってドスンと倒れた。
勇人はスコープを覗きながら小銃を構えて近づくがオークが完全に死んでいるのはすぐにわかった。
「まさか、レベルが12もあるオークを直撃とはいえ一発で即死させるとは...。文明の利器ってすげぇな」
戻ってきたミミのステータスを確認すると前回同様に大幅なレベルアップを果たしてレベル上限に到達していた。
「相変わらずのミミのステータスの産廃ぶりには悲しみを感じるが、ここまでくるともやはどうでもいいな。とはいってもミミのレベル上限か。解放したな。どれどれ、...ふむ。ミミの場合は狂鳥の討伐か。でも、どこにいるかわからん。村人とか冒険者ギルドみたいな場所に行けばわかるんだろうが、いまだに言葉の壁がなぁ。とりあえず棚上げ」
そう言うと次のターゲットを探す。
次のターゲットは5匹のフェンリルだ。
フェンリルのような魔物だと発見即戦闘になりやすそうだがそうならなかったのはミミの索敵のおかげだった。
ミミが何かいるというジェスチャーを勇人に送って双眼鏡などを使ってフェンリルの存在を確認し、攻撃の指示を出す。
ミミによるフェンリルへの攻撃は初弾で2匹が動けなくなり、次弾で更に2匹の動きが鈍くなり、3発目で5匹とも動けなくなった。
ミミへ攻撃停止の合図を送った勇人は残党狩りのようにフェンリルの息の根を止めに行く。
ふらつくフェンリルに距離をとって近づいた勇人は、小銃の引き金を引いて次々とフェンリルを射殺していく。
2分で5匹のフェンリルを全滅させた。
「よし。こんなもんか」
勇人はそう言って試し狩りを切り上げる。
「戦術の有効性は十分証明できた。これならフィールド系の敵であればだいたいは何とかなるだろう。問題はダンジョン系の敵だな」
―そう。ダンジョンは野外ではなく閉鎖空間だ。航空攻撃は特殊な条件を除けば使えないだろう。そうなるとミミの攻撃能力や移動能力がほとんど殺される。まだ、ダンジョンに手を出す段階じゃないからいいが、今後のことを考えると仲間を増やしたり情報交換を行わないいけなくなる。なぜ、この世界に来たのかを調べる依然の問題だ。
勇人は特に何か案があるわけでもなく活動拠点の一つにしているこの前の村に通じる街道に出た。
「とりあえず言葉の勉強がてら村に行くか。モンスターからはぎ取ったアイテムをやれば、しばらく居座っても文句は言われないだろうし」
そんなことを言いながら歩いていると馬車を2台擁する商隊とすれ違った。
「おお、異世界感あるなぁ」
そんなのんきなことを言っていた歩き続けていた矢先、後方でかすかに騒ぎが聞こえ始めた。
「さっきの商隊か?見に行ってみるか」
勇人は気づかれない様に近づいていくと商隊が盗賊の襲撃を受けていた。
「マジか?!」
商隊の護衛隊が奮戦しているが無勢に多勢だったらしく、商隊は一人残らず全滅した。
勇人が駆けつけた時には既に大勢は決していたし、準備も整っていない勇人では助けに入っても返り討ちに合う危険が十分ある。
盗賊たちは小隊の馬車を強奪するとアジトが存在すると思われる方へと移動し始めた。
―見たところ盗賊は20人程度と数が多いな。どうするかな。とりあえず、距離をとって追跡してみようか。
勇人は追跡して欲しいというジェスチャーを上空にいるミミに送る。
ミミは勇人のところまで降りてくると武装を外してまた飛び上がり、盗賊の真上を今まで見た中で最も高高度を飛行し始めた。
勇人はミミの位置を見ながら盗賊の跡を追う。
夕方には盗賊たちがアジトとみられる野営地に入っていくのを勇人は確認した。
勇人が双眼鏡で野営地の監視を続ける中、ミミが偵察を終えて降りてくる。
「お疲れ、ミミ。...さてと、経験値の糧として喧嘩を売ってみようかと思うけどいけるかな?対人戦はモンスター狩りより危険度が高いと見るべきだがこっちには対人戦に滅法強い装備と戦術があるからな。理論上は完封できるはずだけど...!」
勇人は野営地内のある存在に気づいた。
「ひー、ふー、みー、...女の子が四人!人攫いか?」
どうやら盗賊たちは何かしらの経緯で女性たちをアジトに連れ込んでいたようだ。
「まずいな」
―ミミの攻撃は破片を巻き散らす。女性たちが加害半径より外にいたとしても飛び散った破片で負傷する危険は十分ある。女性も助けるのであればここは重火器で解決するのがベターか。それとも....。
勇人は攻撃手順を頭の中で構築すると作戦開始を夜明けに設定した。
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