第4話 頬の色
2人と分かれ教室へ入ると少しザワついていた。それに何だか周りからの視線が自分に向いているような気がする。なんだ?顔や体がなんか変か?そんな事を考えていると…
「ようー、やっと来たか!」
貴樹が嬉しそうに話しかけてくる。
「おはよ、すんごい目線を感じる」
「だろうな?高嶺の凛先輩と登校なんてしたら」
全てを察した。なるほど、確かにあんな美人な人と一緒にいたら注目の的になるのは当たり前か。尚更、男といたなんて。今日だって姉と3人とは言え一緒に登校できただけでも奇跡だ。だが果たして今日だけで終わるのかは疑問だが。
「俺はただ姉ちゃんと一緒に登校した、そこにたまたま凛先輩が来ただけであって皆が思っているような関係じゃないよ」
「いやいや〜?美希先輩だって十分美人さんだと思うけどなぁ?このこの〜」
「肘をぐりぐりするな、あんなののどこがいいんだよ」
自分ではモテると日頃から聞かせられているのだがやはりそうなのだろうか。姉弟だから何かを感じたことは一切無いが。
「ま、俺たち1年より先輩たちの方が騒いでるって話らしーぜ?」
よく2日目でそんな情報が回ってくるものだ。
「そっか、先輩いるんだっけ?」
「そそ、お世話になってる。」
多くの知人の中にはそういった貴樹よりも歳上の人も含まれている。ツテは多い方が良いからと本人も過去に言っていたのを思い出した。
「おはよ2人とも、何の話してるの?」
そう声をかけてきたのは昨日隣の席ということで仲良くなった
「東雲さんおはよ。聞いてくれよ智哉のやつもう3年の先輩に手出したんだぜ?」
「えっ、橘くん見た目のわりにもしかして肉食系なの?」
「誤解だよ東雲さん。普通に姉とその友達の3人で登校してきただけの話」
「なぁんだ、そういう事か。言ってたもんねお姉さんがいるって」
残念そうな顔をしてるのが少し引っかかるが誤解が解けたようでなによりだった。
____
この学校は昼休みになると食堂へ行く者や机を合わせ弁当を出す者のなどの光景が見られる。
「お前今日弁当?」
「いや、姉ちゃんからは何も言われてないから食堂行こうと思ってた」
「お、なら俺も弁当持って食堂行くわ」
貴樹の弁当待ちを見ていると、廊下が妙に騒がしい。昼休みなのだから当然かと気を緩めた時、ふと自分の名前が呼ばれた。
「おーい、智哉!」
振り返った先の教室の入り口いたのは何と姉だった。何をしに来たのかと思わず
「姉ちゃん…?」
本当に姉なのかと疑ってしまった。だがそんな疑問は次の登場人物でどうでもよくなる。
「やっほ」
姉ちゃんの後ろから顔だけぴょこっと覗かせたのは凛先輩だった。廊下のざわつきの正体はおそらくこの2人だろう。姉ちゃんと凛先輩は何事もなく教室の中へ入ってきて
「はいっ、お弁当!」
「え?」
差し出されたのは包まれた四角い箱だった。
「智哉に渡すの忘れてた!てへっ」
「あ、あぁ…おっけ」
あまりの情報の多さを整理するのに手一杯になってしまって腑抜けた返事をしてしまった。当然、弁当を出し終わっていた貴樹も2人を見つめ動きが止まっていた。
「それでさこの後暇?」
「え…ま、まぁ特には」
「よかった、じゃあ一緒にお昼食べよ!良かったら貴樹くんも一緒に」
「えっ!いいんですか!?」
おいおい、少しは戸惑ってくれよ。凛先輩がいるんだぞ
「だめかな、智哉くん?」
「へっ?あ、全然大丈夫ですよ」
凛先輩にそう言われてダメと言う男子はいないだろう。
「えへへ、やった」
「よぉし、じゃあ2人とも出発〜」
俺と貴樹は多くの人の注目を浴びながら前を歩く2人の先輩の後ろを付いていった。
「ごめんね2人とも〜うちのりんりんがさ?智哉くんとご飯食べたい〜!ってしつこくてさ〜」
「ちょっ…美希!!!!」
慌てて姉の口に手をあてる凛先輩は目を丸くして俺の方を見る。顔が少し赤くなっているのは気のせいだろうか?
「あははっ…何言ってるだろうねこの美希ちゃんは…えへへ」
「そ、そっすね…」
"聞かなかったことにしろ"と必死な目で訴えてきたので苦笑いで対応した。
「にしても貴樹くん見ない間に大きくなったね!」
「成長期ですから!」
先程の事を全く反省すること無く姉は貴樹に話しかけ楽しそうにしている。すると横から肩を叩かれ
「凛先輩…?」
「さっきの…ちょっとは本当だから…」
それだけ言って姉の横にまた戻る。
「初めまして佐々木先輩!仙道貴樹です!」
「うん!美希から色々聞いてるよ___」
自分の頬を触ると熱かった。きっと俺もさっきの先輩みたいに少し赤くなっているのだろう。いや、きっとそれ以上に。
2つ上のお姉さんにとても好かれる話 白鹿ベ透ル @Is629
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