とにかく読む手が止まらない、壮大な物語
- ★★★ Excellent!!!
「彩詠術」と呼ばれる太古の神秘のわざと、それに関わる人々の、壮大な物語です。
緻密な世界観。清濁併せ持つ生き生きとしたキャラクター。難しいテーマをやさしく、かつ深く物語に落とし込む作者様の高い力量。特に彩詠術のシーンの神秘的な美しさは圧巻で、今まさにここで光と音を感じているかのようです。
英雄譚、叙事詩、愛憎劇、神話、純愛、ミステリー……ひとつの作品に様々な要素が含まれており、とても読み応えがあります。とはいえコミカルなやりとりも多く、美しい文体も相まって大変読みやすいです。
そう、文字数を含め圧倒的なボリュームでありながら、不思議と読みやすいんです。とにかく読む手が止まりません。第一部の一章、二章、三章……と読み進めるうちに、気がつけば続きを渇望している自分がいます。可能であればじっくり腰を据えて読んでいただきたい作品です。
歴史の移り変わりと、世界や人々が変わりゆくさまを、そしてその後の人々の決意と歩みを、作品の熱を、ぜひ体感してください。