『梅雨から夏を想いて』

呪文堂

梅雨から夏を想いて

葉の緑 一雨ごとに 濃く深く

はのみどり ひとあめごとに こくふかく



君が傘 開きて消えん 雨恨む

きみがかさ ひらきてきえん あめうらむ




葉に宿る 珠露照らす 朝陽かな

はにやどる たまつゆてらす あさひかな



街の樹々 めかし賑わう 雨化粧

まちのきぎ めかしにぎわう あめげしょう



開く傘 閉じる傘あり 朝の駅

ひらくかさ とじるかさあり あさのえき



様々な 色に咲く傘 君は無く

さまざまな いろにさくかさ きみはなく



泣きそうな 空を見上げて 頬濡らす

なきそうな そらをみあげて ほほぬらす



長雨や 別れて哀し 天地の

ながあめや わかれてかなし あまつちの



黒南風に 舞い散る雫 空と消え

くろはえに まいちるしずく そらときえ



東屋で 本閉じ聴くは 雨粒の音

あずまやで ほんとじきくは あまつぶのおと



雨飛沫 ビートの強い Jazz に似て

あめしぶき びーとのつよい じゃずににて



紅一点 くすんだ街に 君の傘

こういってん くすんだまちに きみのかさ



雨上がり 西陽射す街 虹と成り

あめあがり にしびさすまち にじとなり



雨上がり 点々と空 路地に在り

あめあがり てんてんとそら ろじにあり




雨の上 雲海照らす 月の白

あめのうえ うんかいてらす つきのしろ



八咫烏 曇突き抜けて飛べ 天照らせ

やたがらす くもつきぬけてとべ あまてらせ




雨雲の もくもく育ち 夏来る

あまぐもの もくもくそだち なつきたる



夏の午後 驟雨走りて 神が鳴る

なつのごご しゅううはしりて かみがなる




手に日傘 衣も薄く君涼し

てにひがさ ころももうすく きみすずし



我が時を 止めたる君の 浴衣姿

わがときを とめたるきみの ゆかたすがた




おしまい

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『梅雨から夏を想いて』 呪文堂 @jyumondou

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