大人になると自身が抗おうとしても、変わっていくものが沢山あります。作者さまの短歌から、その変化に対する切なさを、優しく温かい文字で短歌に落とし込んで表現されている、そんな印象を受けました。短歌集を詠み進めていくと、切なさの中にも、芯と言いますか、軸と言いますか。作者さまの根底にある『変わりたくないね』という強い気持ちをひしひしと感じることが出来ました。きっと日々の生活の中で自身に深く問いかけながら作品を作り上げられたのだと思います。そんな自身と作品との向き合い方にも感服致しました。
自由に憧れて早く大人になりたかったはずなのに、失ってしまった子ども時代が圧倒的に自由だったことに気づく…社会に出ると色々ありますよね。そんな日々の中で、石ころみたいに落ちている寂しさに躓いて、それを慈しむように詠んでいく一首一首が、とても愛しく感じます。
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