異能研究部「Absolute」

白樺かずま

Prologue

20xx年。

世界は古の魔物の驚異に怯えていた。

治安組織はその役目を完全に放棄し、荒れた世界。世は武器の携行が当然となり、人ならざる魔法の類いや生まれつき特殊な能力を持つ者が騎士団と名乗り魔物へと対抗し生きていた。

そしてその騎士団を持ってしても無力なまでに強力な魔物が、世界を飲み込もうとしたその時。それを滅し、封印したのは当時高校生である天才と呼ばれた一人の陰陽師。彼は英雄と讃えられる事になる。

陰陽師の一族の次期当主にして若い男はただ一度の動作により魔物を封印……消滅させる。


ーー以上、記録より抜粋。


そして数年の歳月が経つ。


>>能力者なんているのかよ?国の作った幻想じゃなくて?


>>そういえばこの前暴れてたの取り押さえてたな。騎士団の奴が。


>>ニュースにはなってないけど。


>>確かに見たんだ、手から雷出てた。あれは能力者だろ。多分騎士団の奴だよあいつ。


>>俺も見たことあるよ、なんか黒いの出してる男を。


>>まあ武器の携行はセーフ、能力者の取締の法律も団体もあるのにテレビとかじゃ能力者の事を隠している国ってのもきな臭いよな。


>>やっぱり能力者って、いるよな。明らかに国が何か隠してる。だからここでの口コミくらいしかわかんないけど。


>>やっぱネットの力すげえわ。ここなら真実が見える気がするよ。


>>じゃあ、目撃したら書き込もうぜ。


>>俺達が本当の事を明らかにしてやる。


ーー以上、インターネット掲示板「異能.com」より抜粋。



「魔物が消えて以降も、能力者と呼ばれるものはこの世に生まれています。まだ魔物のいた時代すら記憶に新しいでしょう、その魔物から受けた被害を抑えたのは他ならぬ能力者だったはず。私が見たわけじゃないから憶測だけど。しかしその異能力から迫害を受ける事も多々あるとのこと。彼らの起こした事件、事実は国に隠蔽され、我々一般人には殆ど知られていません。これはネットでも騒がれていますよね」

とある大学の校内で女は叫ぶ。

「知りたくありませんか!?本当に能力者がいるのか!?国が隠している事実を!!この国には能力者を取り締まる騎士団だってあるのに!!能力者の存在は隠していないのにその行動は公にはされていない!?これじゃ本当にいるのかの証明にはならないじゃない!!どうして私達力のない一般人には隠蔽するのか!!都合が悪いから隠している、ならばその存在は確実にある!!」

足を止める者が、一人。

「私達は異能研究部、「アブソリュート」!ねえ、共に真実を探さない!?」


悠久大学 異能研究部「アブソリュート」

所属、能力者二人、能力者掲示板の管理人一人。

それを部長である彼女は知らない。

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