【短歌/連作】たまねぎのやうなその身を剥いて

三屋城衣智子

芯までもを魅せて



べりべりと思考や感情そのまわり

 剥くような文字 晒す薄皮




          瞳さす その躍動感 

           脳裏へと焼き付かんとす萌え終わるまで




薄暗い 部屋の中での指一本 煌々なる画面

 向かい側彼方




          弛む頬 めあてを見つけ よりたれて

           深夜の甘味に ころころするかな




足元の 爪いつのまに薄汚れ 

 歩いた数多にほいけるかな




          ブルーグリーン どっちちかずとあなた言う 

           私は好きよ混ざっているもの




眉寄せて 奥歯をぎりり爪肉奥までとどきまだ足りず




          画面越し その熱量の文字うけとり

           頬ずりしたいなできないけど




あれは嫌

 これがいいのと言う自身たまに妄想してみる夜に




          やわらかな 頬の温もり 手のひらに

           私の気持ちつたわってるかな




言葉文字

 いくら形を送っても 感じる器官どこにあるの




          手と手とを 足と足とを比べみて

           違いを知って同じと感じて




こころという 不確かなその輪郭を

 なぞりたくても なぞれなくて




          くろきいろしろ はだの色 違ってる

           けど種類同じでしょ生物だ




あなたの手 そのひらの才 気づかないで

 言いそうになるそばにいたくて




          だんだんと 頂点が膝越してゆき

           肩に近くて見えるつむじよ




月が綺麗 大好きだより必要な

 ただ聞きたいの居て欲しいって




          もれる呼吸 鼻息いびき 大合唱

           その中で寝る温もり安堵




飛び出した 夕やみ道影どす黒く

 家の明かりに崩れおつ膝




          身体中 暑し寒しに関節痛

           熱冷ましより効く手のひらの

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【短歌/連作】たまねぎのやうなその身を剥いて 三屋城衣智子 @katsuji-ichiko

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