最終話 私を幸せにしてみてよ

「とにかく、誰かと結婚するってやり方じゃ、私は幸せにならないから」


 私は神様にきっぱりと告げた。神様は腕を組んだ状態で、うーんと低く唸る。


「うちの神社にはよく、結婚して幸せになりたいですって言う女の人が来てたんだけどなあ」


「それはその人の幸せ。私の幸せじゃないよ」


 宙でぷかぷか浮かぶ神様を見つめる。そういえば最近、こいつのおかげで寂しいとは思わなくなっていたなとふと気がついた。振り回されてばかりだったせいだろうけど、ちょっと、悪くない。


「いいよ」


 そう言って、私は神様を見つめる。


「分かった。私を幸せにしてみてよ。別の方法で」


 誰かに期待するのは、嫌いだ。だけどこの神様になら、少しだけなら期待してもいいような気がする。


「言っておくけど、私も私自身の幸せが何かなんて分からない。だから、一緒いっしょに探して」


 神様はぱちぱちと瞬いた後、じわりと口角を上げた。この笑い方をなんて名付けたらいいんだろう。近いイメージの言葉は、にんまり、だろうか。


「分かった、任せろ! 絶対俺が幸せにしてやる」


 この神様がこれから何をしでかしてくれるのか楽しみにしている自分に気がついて、私は驚いた。この素直でちょっとぽんこつな神様は、本当に私を幸せにしてくれるのだろうか。分からないけれど、もうしばらくの間付き合ってみることは、きっと、私を退屈させないに違いない。


 こうして、私と神様の不思議な幸せ計画(?)は始まったのだった。

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お前を幸せにするX回の神通力 If @If_

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