届かない声を誰か少し聞いて、泣き叫んでも知らんぷりする静寂の中で

明確な意志、静かなる怒りと諦め、ささやかな願いを感じる。 

自分がどういう考えをし、どんな人間が嫌いか。
どんな扱いを受け、どう生きてきたのか。
端的に伺える書き方をされている。
ただ具体性に欠けるため、どのような綺麗事に理解できないのかがわからない。
子供に「嘘をつくな」と言っておきながら、大人や教師は平気な顔をして嘘をつく、といったことかもしれない。

彼女にとって、「この幸福な人生」とはなんなのか。
尊敬するN先生がなくなったのに、楽しみを見つけたのかもしれない。
後ろ指さされて死んだN先生と自分は同じだから、ちがう生き方を選ぶのではなく、後を追わなければならないと感じたのだと邪推する。
よく親や友達が突然なくなったとき、子供は自分も一緒に死ななくてはいけないと思って後追い自殺をする、もしくは考えることがある。
それと似た状況になったのだろう。

主人公の親はどんな親だったのかわからないが、ネグレクトだと想像する。
家庭環境が、後押ししたのは間違いない。

N先生が死んだ日に、自殺していると思われる。
相手の好きな音楽を聞くのは、相手の心に流れている音楽を聞くこと。
死んだN先生に近づくためには、必要なことだったのだろう。