反逆のシンデレラ
想田翠/140字小説・短編小説
第1話 反逆のシンデレラ
23:30になって声をかけられても……もう遅いのよ。
だって、普段はボロを着せられて蔑まれているんだから、魔法で綺麗な身なりにしてもらっても、急に自信満々に振舞えるわけないわ。
王子は姫達から積極的にアプローチされて、自らも上から目線で見定めて、お眼鏡に適った相手が見つけられなかっただけ。
消去法で選択したでしょ?
……隅で縮こまる私に「一緒に踊りませんか?」と声をかけてきた動機のことよ。
ダンスを踊り始めてやっと、顔をまじまじと見つめて褒めだした。
「こんなに美しい姫が隠れていたなんて!」
自分の洞察力の無さを嘆くならまだしも、スポットライトを当てない裏方のせいにするなんて、みっともない。
だけど、「美しい」と見惚れられたおかげで、久々に自信を取り戻すことができたわ。
私は元々この舞踏会に招待されて然るべき地位の人間。
ただ、運命のいたずらでいじめの対象者になっただけ。
媚びを売って玉の輿に乗らずとも、継母達にやり返す方法があるはず。
さぁ、24:00の鐘が鳴る。反逆の準備を始めよう。
必要なのは、こんな脆いガラスの靴じゃない。
「えぇい、脱いじゃえ! あ、片方脱げないけど、ま、いっか」
反逆のシンデレラ 想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda
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