黄昏を結ぶ花

🔸あらすじ

　父の仕事の都合で日本で生まれ、アフリカで育った中学一年生の少女・季志子は、古い日本の漫画を読んで大きな平屋の家で育つ。
　登校や下校には必ず頑丈な車で移動し、広い庭には頑丈な鉄のゲートと大型犬が七頭もいる中で育つ。誰かの目のあるところでしか自由に駆け回ったりできない生活に閉塞感を覚えていた少女は、両親が今度は南米に赴任するという機会を利用して、兵庫県の六甲道にある叔父の家に身を寄せて、私立中学に通うことにした。
　しかし、中学に入学してからすぐのこと、帰り道に不思議な異世界に迷い込んでしまう。
　そこは季志子が何をしていようと関心のあまりない岩巨人たちの世界だった。誰の目も気にしなくていいという開放感から、季志子は岩巨人に付き合って、釣りをしたり草原で昼寝や読書をしたり自由気…続きを読む