第12話 私が叶えてあげる!

 原田君にはげまされて、瑤子ようこちゃんからも背中押されてるような気持ちになれた。

 

 だけど、登川とがわ君は佑香ゆうかとあんなラブラブなのに、どうやって割りむの?


 しかも、佑香は私の親友なのに……


 私みたいに、登川君も佑香に向かって、やっぱり付き合えないって言ってたらスムーズだけど……


 そんな都合つごう良く、ことが運ぶわけがない。

 

 どうしたらいいか頭を悩ませ、着慣きなれない浴衣ゆかたすそに足を取られながら、2人の歩いて行った方をいそぎ足で探していた。


 すると、タイミング良く、一人でいる登川君を見かけた。


 佑香は、トイレにでも行ったのかな?

 浴衣が着崩きくずれて、直しているとか?


「登川君……」


「沙希菜ちゃん? 原田君に泣かされたのか? あいつ……」


 まだ涙のかわかない私の顔を見るなり、登川君は勘違かんちがいして、原田君に仕返しに行こうとした。


「違うの! 原田君のせいじゃない!」


 登川君、私のために原田君の所へ抗議こうぎに行こうとしてくれた。

 そんな風にされると、やっと止まった涙が、またあふれそう……


「何が有ったの?」


 話すと長くなりそうで、佑香が戻ったら話しにくいし……


「それより、佑香は?」


「フラれたよ」


 意外ぎる返答!


「あんなに仲良さそうだったのに!」


「自分だけを見てくれないような人は、イヤだって」


 佑香がそんな事を言って、登川君を振るなんて!

 

 私も、それはイヤだけど……


 でも、楽しそうな登川君の顔をそばで見ていたい!

 登川君が、笑顔でいてくれるなら、私じゃなくて、私の中の瑤子ようこちゃんを見ているとしてもかまわない!

 

 だって、それが出来るのは、この世で私だけだって、気付かされたから!


「登川君、今度、一緒に科学館に行こうよ!」


 登川君が瑤子ちゃんと果たせなかった初デート。

 私と一緒にかなえよう!


「うん、けど、一人でずっと待たなくてむように」


むかえに行っていい?」「むかえに来てね」


 二人の声がハモった!


 瑤子ちゃんとしての前世は思い出せないけど、登川君と二人なら上手くやっていけそう!


 あとは、原田君と交際中と思ってるお母さんの説得せっとくだけ……


             

               完

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生まれ変わっても、恋に落ちるの? ゆりえる @yurieru

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